*日韓で巨大企業を築いた重光武雄(本名=辛格浩シン・ギョクホ)の生涯をさらに追う。
(ネット検索書き=敬称略)
国の経済規模を示すGDP(国内総生産)を見ると、最新2018年データ(名目GDP)で韓国は10位にランクされる。1位アメリカ、2位中国、3位日本、以下ドイツ、イギリス、フランス、インド、イタリア、ブラジルと続き11位カナダの前に韓国となる。G7(先進7カ国)と肩を並べる堂々たる経済大国となった。
だが、朝鮮戦争直後の韓国はインフラが戦禍で壊滅状態にあり経済は疲弊していた。世界の最貧国グループにあり、北朝鮮に比べGDPで劣っていた。
極貧を乗り越えて先進国になったのである。
さて本題は重光武雄である。
1965年日韓基本条約が締結された。時の政権、日本は佐藤栄作首相と韓国は朴正煕(パク・チョンヒ)大統領。これにより日本は朝鮮半島唯一の合法政府と認め韓国との国交正常化が成った。
「母国のために役に立ちたい」重光は願った。韓国での事業の機会を窺う。
それにしても両国の戦後処理というべく基本条約が、東京オリンピックの翌年までかかったことに驚かされる。それだけ日韓の溝が大きかった証でもある。
賠償金で揉めたが、総額8億ドルで決着をみた。打ち分けは無償3億ドル、政府借款2億ドル、民間3億ドルだった。これを引き換えに韓国は請求権を放棄した。現在、日韓関係の火種となっている徴用工問題はここに端を発す。
1965年当時の世界GDPを再び見る。韓国は39億ドルで43位とある。フィリピンやバングラディッシュより劣っていた。日本は910億ドルで5位。経済規模は日本の3%に過ぎなかった。
貧しかった韓国に、重光は1967年まず韓国ロッテ製菓を設立した。待望の進出。祖国の将来に夢をかける思いがあった。
1970年代に入り朴正煕は重光に大規模投資を求めた。鉄鋼、石油化学の基幹産業で祖国発展に貢献することを考えていたが、大統領からこう言われたという。
「君にはホテルを頼みたい」
国を代表するような最高級ホテル建設である。朴正煕の反共思想に共鳴した重光は日本で稼いだ資金を惜しげもなく注ぎ込む。
日韓国交正常化をきっかけに韓国は『漢江(ハンガン)の奇跡』という超高度経済成長期を迎える。ロッテもその一翼を担った。
1979年ソウル随一の繁華街明洞(ミョンドン)に完成したのがロッテホテルである。その7ヶ月後に知己を得た朴正煕大統領が暗殺される衝撃的な事件があったが、 1989年にはディズニーランドを模したアミューズメントリゾートのロッテワールドも開業する。
ホテル、百貨店、スーパー、化学、建設と次々に事業を拡大した。
『企業報国』が彼のスローガンとなった。
2019年5月に韓国公正取引委員会が発表した大規模資産会社ランキングがある。
1 サムスン 414兆ウォン
2 現代 223兆ウォン
3 SK 218兆ウォン
4 LG 129兆ウォン
5 ロッテ 115兆ウォン
今では韓国No.5の財閥に成長した。
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