2012年5月29日火曜日

西村賢太「苦役列車」

「いいとも」出演でヤバイ発言も、只者ではないぞ。

西村賢太の「苦役列車」(新潮文庫)を読む。第144回芥川賞受賞作。
 
 


その風貌に驚いた。
ずんぐりむっくりの猪首。
開襟シャツにチノパンの四十がらみの中年男。
作家といえば、芥川龍之介とか川端康成とか、観るからに知的で、尋常でない眼光の鋭さと神経質そうな顔立ちを想像してしまうが(当方、古い奴ですが)、想定外のご仁でしたぞ。

テレビ「笑っていいとも」に出演している姿を初めて観た。

話す内容は「風俗」「変態プレー」など飛び出し、放送コードに抵触しそうだったし、ヤバイ輩(やから)。
変人というより変態?だった(笑)。

144回(平成22年下半期)芥川賞を受賞した「苦役列車」の作者・西村賢太さんである。

×  ×  ×
 
 19歳の北町貫太は、父親が性犯罪者になったことで人との交わりを避け、中学卒業からずっと日当5,500円の港湾労働でその日暮らしを続けている。友もなく女もいない。コップ酒とたまの風俗通いだけが楽しみだった。ある日、仕事に向うマイクロバスのなかで、専門学校に通う日下部という若者と知り合う……。

※表題作と「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を収録。

×  ×  ×

主人公の貫太は西村賢太自身の私小説。
だから、西村賢太は中卒であり、父親は性犯罪者である。
今後も私小説に拘り、書き続けるそうだ。

藤澤清造という作家に傾倒しているそうな。

恥部までも隠さず、己を曝け出す西村賢太の姿に心動かされました。
只者ではありませんな。

「苦役」とは、つらく苦しい労働。また懲役のこと。

2012528、日読了

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2012年5月23日水曜日

ひろしま美術館常設展

ヨーロッパ美術の流れを通観――。
ひろしま美術館(広島市中区の中央公園内)の常設展を観る。

300円で借りた音声ガイド(一般的に500円が相場)の懇切丁寧な解説を聞きながら、円形の建物を4区画に分かれた常設展をゆっくりと廻ると、19世紀ロマン派から印象派、ポスト印象派、フォーヴィスム、エコール・ド・パリに至るヨーロッパ美術作品を通観できました。

常設展
・第1展示室:ロマン主義から印象派まで
 ――ドラクロワ/ミレー/ブータン/マネ/モネ/ルノワール/ドガ
・第2展示室:新印象派と後期印象派
 ――シニャック/スーラ/ロートレック/セザンヌ/ゴーギャン/ゴッホ/ルドン/ボナール
・第3展示室:フォーヴィスムとピカソ
 ――デュフイ/マティス/マルケ/ピカソ/ブラック
・第4展示室:エコール・ド・パリ
 ――ローランサン/ユトリロ/モディリア―ニ/パスキン/シャガール/レオナ―ル・フジタ/キスリング

惹かれた作品
・モネ「セーヌ河の朝」
・セザンヌ「曲がった木」
・ゴッホ「ドービニーの庭」

×  ×  ×

仕事で何度も来ている広島だが、今回初めて観光をした。厳島神社で平清盛の歴史をたどり、ひろしま美術館でヨーロッパ美術史を学びました。結構でした。

*さとうわきこ絵本原画展が併設
2012518日観覧

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2012年5月22日火曜日

平清盛館:宮島歴史民俗資料館

大河ドラマの世界を体験――。

 厳島神社出口から歩いて約3分。宮島歴史民俗資料館企画展示「平清盛館」(2012114日~2013114日)を観る。

 
本展構成
・清盛と宮島の関連資料
・京都・六波羅密寺にある「平清盛坐像」(重要文化財)複製
・大河ドラマ「平清盛」ストーリー説明
・ドラマ清盛役の松山ケンイチが着た衣装、道具、サイン色紙
・大河ドラマ「平清盛」と厳島神社をテーマにした映像

 平安末期、貴族から武士の世の時代の移り変わりの歴史とドラマをシンクロさせながら清盛の世界観を観ることができる。

×  ×  ×

 館内にはちょうど40年前、1972年(昭和47年)の大河ドラマ「新平家物語」(吉川英治原作・平岩弓枝脚本)のパネルも紹介されていて、興味深かった。清盛は仲代達矢が演じた。

主なキャスト
・平清盛=仲代達矢
・平時子=中村玉緒
・常盤御前=若尾文子
・源義朝=木村功
・源頼朝=高橋幸治
・源義経=志垣太郎

2012517日観覧

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2012年5月20日日曜日

平清盛が造営した厳島神社

海に浮かぶ社殿という類まれな発想

 平清盛の3大偉業とは、
1        世界遺産(厳島神社)を作った
2        日本にお金(日宋貿易による宋銭)を普及させた
3        平安ポートアイランド(国際貿易港・神戸)を作った
となるそうな(4月に放送したTBS「今夜はヒストリー」の受け売りですが……)。

ガキのころの印象では、平清盛はどちらかというと驕(おご)れる悪役、源義経がスーパーヒーローで、源頼朝は身内にも冷徹な男だった。平家にあらずんば人にあらず――平家一門の全盛時代の中心人物が清盛だった。

が、どっこい。
 清盛は信仰心の厚い、政治・経済感覚に優れ、武士の時代を築いた男だった。

 
 保元元年(1156年)。平清盛は鳥羽上皇の命により高野山の根本大塔の再建を果たした。修理を終えた奥之院を参拝した際、どこからともなく老僧が現れ、
「安芸の厳島大社を修理すれば、平家一門は官位において並ぶものがないほど繁栄するであろう」
と言い残し、もやのなかに姿を消した。あたりにはお香の薫りが漂っていた。
 その老僧こそ弘法大師の化身と信じた清盛は、仁安3年(1168年)厳島神社を造営した。

現在の荘厳華麗な朱塗りの海上社殿、世界遺産を残したのは清盛だった。以来、厳島は平家の守り神となった。

海に浮かぶ社殿という発想が清盛の凄さなんでしょうな。

訪れたときは、大鳥居(重要文化財)は43日の暴風による破損で修理工事中(419日~618日)でした。工事用シートに覆われ、全容は観れず、残念だったなぁ。
 それでも、
・本殿(国宝)
・平舞台(国宝)
・高舞台(国宝)
・能舞台(重要文化財)
・反橋(重要文化財)
・廻廊(重要文化財)
と見所十分だった。

2012517日観覧

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2012年5月8日火曜日

大沼紀子「真夜中のパン屋さん午前1時の恋泥棒」

「ブランジェリークレバヤシ」に転がり込んだ妖しい美人

大沼紀子の「真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒」(ポプラ文庫)を読む。シリーズ第2弾。



真夜中にだけ開く不思議なパン屋さん「ブランジェリークレバヤシ」。年の瀬のある夜、妖しいげな美人が訪れた。由井佳乃と名乗り、なんとパン職人、柳弘樹の元カノだという。行く当てのない佳乃を、人のいいオーナーの暮林陽介は店の2階に住まわせることにした。その晩、もう一人の居候高校生、篠崎希実は佳乃のボストンバックに大量の札束が入っているのを見てしまった――。

目次
Mélanger Ies ingrédients & Pétrir pate
――材料を混ぜ合わせる&生地を捏ねる
Pointage & Tourage
――フロアタイム&折り込み
Découper des triangle & Fermentaion finale
――カット形成&最終発酵
Cuisson
――焼成

×  ×  ×

「まよパン」と呼ぶそうな。
「真夜中のパン屋さん」のシリーズ化に際しての略称。
「もしドラ」なんてえのもありました。
確か「もし高校野球の女子マーマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」でしたっけ。

長い言葉は見出しにとりにくいし、発音に時間がかかる。
特にカタカナは……。
「スマホ」はちょっと前は「ケータイ」でした。
その前は「ポケベル」か(笑)。

ひどい風邪を引いちまった。
最大最凶でヨレヨレフラフラ。
平参平みたいに歩いておりました。
かれこれ2週間。
あまりに古いお笑い芸人の引用で復活します(笑)。

2012430日読了

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