近代日本美術の先駆者「維新の洋画家 川村清雄」展を東京・両国の江戸東京博物館で観る。開催=2012年10月8日~12月2日。
この展覧会まで川村清雄の名を知らなかった。
名は知らぬが、絵には既視感があった。
篤姫こと「天璋院像」、勝海舟の「江戸城明渡の帰途」など歴史の教科書に載っていた。
ああ、あれを描いた画家なんだ……。
遅まきながら知ったのだった。
本展では、
・フランスのオルセー美術館から里帰りした晩年の作品「建国」(1929年)・勝海舟に捧げた「形見の直垂(ひたたれ)」(1899年)
など代表作を含む約100点の絵画を展示している。
★川村清雄(かわむら・きよお)
1852年(嘉永5年)―1934年(昭和9年)。黒船来航の前年に江戸で旗本の子として生まれ、幕末から明治、大正、昭和と激動を生きた日本で最も早い時期に海外で学んだ洋画家。明治4年に徳川家の留学生としてアメリカに渡り、後に欧州へ。イタリアではベネチア美術学校で優秀な成績を収める。
海外留学10年を経て帰国したが、フランス美術の強い影響下にあった日本洋画壇では時流に乗れず、次第にとり残されていった。
日本独自の油絵を生涯にわたり追及した『油絵師』。
本展で知った清雄のエピソード
・川村家のルーツは、紀州にあり、徳川8代将軍の吉宗ともに江戸入りした17人の御庭番。・清雄は勝海舟に可愛がられ、赤坂氷川の勝邸に画室を構えたこともある。
・清雄は徳川宗家16代当主の家達(いえさと)の奥詰だった。
・清雄はアメリカで津田梅子の看病をして麻疹をうつされた。
絵画より歴史好きには彼と歴史上の人物との関わりが興味深かった。
2012年10月25日観覧
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