藤沢周平の「玄鳥」(文春文庫)を読む。
路の亡父は無外流の達人で、秘蔵の弟子である曾根兵六に秘伝の型を伝授しようとしたが、粗忽の本性を知り思い留まった。秘伝は路が口伝で授かり、兵六が絶体絶命のときに伝えよと言い残していた。上位討ちに失敗した兵六は減石を受けたうえ、藩は討手を差し向けた――「玄鳥」。表題作を含む5編を収録。
× × ×
「玄鳥」とは「つばめ」の別名。
「鷦鷯(みそさざい)」も小さな鳥。「鮠(はや)」は「うぐい」の別名。
小鳥や小魚を題名に採った藤沢周平さんの意図は?
どれもいかにもありふれた生き物だよね。
鳥なら「鷲(わし)」とか「鷹(たか)」とか。
魚なら「鯛(たい)」とか上等、高級といわれるが、そんなスーパーヒーローじゃない主人公たちが登場している。
「玄鳥」では、粗忽者の曾根兵六、
「三月の鮠」では精神面に弱点がある窪井信次郎、「鷦鷯」では貧乏暮らしの横山新左衛門、
「浦島」では酒で失敗した御手洗孫六
といずれも剣の腕が確かだが、
欠点もある生身の人間が物語の中心になっている。
そんなあたりが題名に繋がっていると、
草野は勝手に解釈したのだけど……。
目次
・玄鳥(げんちょう)・三月の鮠(はや)
・闇討ち
・鷦鷯(みそさざい)
・浦島
2013年2月26日読了
読書の轍#4
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