横須賀市の横須賀美術館で「正岡子規と美術」展(2012年2月11日~4月15日)を観る。
近代俳句の革新者である正岡子規(1867年ー1902年)は、絵を愛し絵画作品を残している。彼の文学の核を成す「写生」は、過去の因習や主観を捨て、目の前のものの客観的な描写によって真実に達しようとする思考の在り方で、明治期の洋画家、浅井忠(ちゅう)や中村不折(ふせつ)らとの交流から育まれたといわれる。本展では、子規の絵画とその時代の画家たちの作品を展示している。
本展構成と主な作者
・1 「写生」の水脈 アントニオ・ファンネージ/浅井忠・2 不折と為山 中村不折/下村為山
・3 子規の絵 正岡子規
・4 自然へのまなざし 黒田清輝/藤島武二
正岡子規といえば、文豪の夏目漱石や、同郷・愛媛の友である秋山真之(さねゆき)と秋山好古(よしふる)との交流が知られる。日露戦争の立役者となった秋山兄弟との仲は司馬遼太郎の歴史小説「坂の上の雲」に描かれている。
――君を送りて思うことあり 蚊帳に泣く
米国に留学する親友の秋山真之の颯爽たる姿と、病床に伏す我が身の恨めしさ。余りの境遇の差に詠んだ句。
真之が後に、日露戦争の帰趨を決した日本海海戦の作戦参謀となったのは有名。――本日天気晴朗ナレド浪高シ
真之が日本海海戦出撃の際の報告電報の一節。彼もまた名文家として知られる。× × ×
観音崎の海を臨む横須賀美術館。浦賀水道に貨物を積んだ船が行き交う絶景のロケーションのガラス張りの館。近くの観音崎灯台は日本最初の洋式灯台だそうな。
別館には週刊新潮の表紙絵で名を馳せた谷内六朗館がある。ここもまた癒しの空間。
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