伝説の女優・永遠の処女
『伝説の女優』「永遠の処女」というお定まりの冠詞は知っているが、原節子の映画はほとんど観ていない。代表作である小津安二郎監督の「東京物語」はDVDで観た程度である。※敬称略
そんな原節子知らずだが、加東大介主演の「大番」は、彼女を銀幕で観た数少ない映画だ。原作は獅子文六。東宝で、監督・千葉泰樹で4作品撮られた。
・大番 1957年
・続大番 風雲篇 1957年
・続々大番 怒涛篇 1957年
・大番 完結篇 1958年
愛媛宇和島の片田舎に生まれた主人公ギューちゃんが兜町を舞台に相場で大儲けしたり、大損したしながら繰り広げる人情喜劇だった。面白かった。
原節子はギューちゃんの故郷宇和島の資産家の令嬢、憧れの女性として登場する。
丁稚あがりの相場師・加東とセレブな深窓の令嬢・原がいかにも対照的だった。なによりも原が登場すると(出演場面は少ないが……)、スクリーン全体が凛とした雰囲気が漂ったのである。あれは演出もあるが、原節子という女優のオーラであったと、ガキのころだったが、感心したものだ。
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貴田庄(きだ・しょう)の「原節子 あるがままに生きて」(朝日文庫)を読む。
経済的な理由から14歳で映画界に飛び込んだ天性の美貌の持ち主会田昌江が原節子となり、当初『大根』といわれたが、やがて映画の魅力に憑かれ大女優になる過程を、映画関係者の証言や豊富な資料で綴っている。
巨匠の小津安二郎や黒澤明の「原節子評」は興味深い。
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原節子って、水着姿や入浴シーンもめったに見せない女優だよね。42歳で映画界を去り、その後はひっそりと暮らしています。大正9年、西暦でいえば1920年生まれの今年90歳。まさに『伝説の女優』ですね。
2010年11月16日読了
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