2013年5月26日日曜日

藤沢周平「漆黒の霧の中で」

*水死体の耳のうしろの小さな傷に『殺し』と伊之助は直感した。  

 藤沢周平の「漆黒の霧の中で 彫師伊之助捕物覚え」(新潮文庫)を読む。彫師伊之助シリーズ第2作。


 元腕のいい岡っ引であることを隠して版木彫り職人となっている伊之助は仕事へ出る途中、竪川に上がった水死体を見かけた。死人の耳のうしろに小さい傷があるのを見つけた。虫に噛まれたほどの痕ながら、柔術で言う独鈷(どっこ)と呼ぶ急所だった。殺し――と確信した。
 十日ほど経ったころ、定町廻り同心の石塚宗平が伊之助を訪ねてきた。竪川の死人は七蔵という経師職人だが、得体が知れぬ男らしい。調べてほしいという。軽い気持ちで引き受け探索を始めた伊之助の前に第二、第三の殺しが……。

「岡っ引」を wikipedia でみると、
江戸時代の町奉行所や火付盗賊改方の警察機能の末端の非公認の協力者で、
江戸では御用聞き、
関八州で目明し、
関西では手先(てさき)、口問い(くちとい)と呼んだそうな。

「十手持ち」という言葉も時代劇で出てくるが、
十手は奉行所に事件ごとに必要に応じて取りに行ったそうな。
十手を平次親分や半七親分が神棚に奉ってあることはありえない、
房も岡っ引の十手には付いていないとか。

ガキのころ「朱房の小天狗」(うしおそうじ作)の漫画に熱中したけど、
ありゃ嘘だったのか(ガックり)。

2013523日読了
読書の轍#9

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