19世紀、江戸時代幕末のころの琉球(沖縄)王朝は、清と薩摩藩とに両属しながらも、独立国の体裁を保っていた。
龍が千年に一度の発情期を迎えた。龍が交尾すると嵐になるという。番(つがい)の龍が珊瑚礁の王国、首里の赤田に落ちた。その大嵐の晩に、女の子が生まれた男児を願っていた父から顧みられず、育った。3歳まで名もなく、自ら真鶴(まづる)と名付けた。養子の兄・嗣勇(しゆう)が官吏登用試験である科試(こうし)を前に出奔したことで、真鶴は父の命により兄に代わり男として生きることになる。男の性を亡くした宦官と偽り、名を孫寧温(そんねいおん)と名乗ることになった。
寧温は並はずれた頭脳で13歳の若さで科試に合格、首里城に上がり頭脳集団の評定所筆者主取(ぬしどり)に抜擢される。その才覚を生かし王府の財政改革に乗り出す……。
目次:第一巻
・第一章:花髪(はなからじ)別れ
・第二章:紅色の王宮へ
・第三章:見栄と意地の万華鏡
・第四章:琉球の騎士道
・第五章:空と大地の謠
主な登場人物
・孫寧温(真鶴)
・孫嗣勇=美貌と踊りを生かし花当(はなあたい)となる
・喜舎場朝薫(きしゃば・ちょうくん)=6歳で四書五経を読んだ神童
・聞得大君(きこえおおきみ)=琉球王国の最高神官
・朝倉雅博=琉歌が上手な薩摩藩士
× × ×
英国船が難破したとき、その対応に寧温が当ります。流暢な英語です。これは、宣教師で医者のベッテルハイムに食料や日用品を届ける係をしていた真鶴の時代に覚えたのですね。英語、ドイツ、中国語……。ベッテルハイムは13カ国語を操る語学の天才ですが、真鶴の才能もケタはずれですな。
英国船が難破したとき、その対応に寧温が当ります。流暢な英語です。これは、宣教師で医者のベッテルハイムに食料や日用品を届ける係をしていた真鶴の時代に覚えたのですね。英語、ドイツ、中国語……。ベッテルハイムは13カ国語を操る語学の天才ですが、真鶴の才能もケタはずれですな。
漂流した英国人が無事に広東を送り届けた功労に、寧温に対してヴィクトリア女王がサーの称号を贈るとの書簡が尚育王のもとに届くのですね。
科試(こうし)/花当(はなあたい)/親雲上(ぺーチン)/親方(ウェーカタ)/加那志(がなし)/聞得大君(きこえおおきみ)やユタ(市井の祈祷師)、ジュリ(遊女)などの特殊な読みや用語が出てくるので、当初読みにくいかもしれませんが、起伏に富んだ面白いドラマです。先が楽しみ。2011年9月9日読了
*「 👍いいね!」
0 件のコメント:
コメントを投稿