2009年4月2日木曜日

津本陽「幕末剣客伝」

壬生狼の維新

 津本陽の「幕末剣客伝」(双葉文庫)を読む。
 天然理心流と北辰一刀流を修めた新選組の密偵、中島登の維新前後の生き様を描いている。京、甲陽鎮撫隊での甲州勝沼、会津の地蔵堂、蝦夷の箱館五稜郭と戊辰戦争の白刃を戦い抜いた男が、明治維新から5年、浜松宿に現れる――。
 剣の立会いシーンは、さすが津本陽の描写力で迫力があり、激動幕末の回想と維新の現在が、ストーリー展開でバランスよく交錯している。
2009年4月1日読了

×  ×  ×

 「幕末剣客伝」の主人公である中島登(なかじま・のぼり)は、初めて聞く名でした。ところで、新選組といえば、三橋美智也の歌ですな。作詞・横井弘、作曲・中野忠晴の「あゝ新撰組」は1955年(昭和30年)の作品です。三橋のつやのある美声が懐かしい。
 ♪加茂の河原に 千鳥が騒ぐ
  またも血の雨 涙雨
 三番の歌詞は、
 ♪菊の香りに 葵が枯れる
  枯れて散る散る 風の中
一番の最後の歌詞は「新撰組は今日もゆく」と颯爽としていましたが、三番になると、その壬生狼の行く末を暗示するように「新撰組は何処へゆく」となるのですな。
 なお「新選組」ですが、「新撰組」という表記もあります。

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