絆そして愛
村田英雄(1929年―2002年)の歌で「夫婦春秋」というのがある。
♪ついて来いとは 言わぬのに
だまってあとから ついて来た
「夫婦春秋」の作詞は関沢新一で、作曲は市川昭介である。村田の曲のなかでは「王将」「無法松の一生」「皆の衆」などの代表曲と違い、耳にする機会は少ないが、味わいのある曲だ。
× × ×
他人同士の男と女が人生をともにする――夫婦になるには、それなりの覚悟がいる。運命共同体というか、一蓮托生というか。他人には窺(うかが)い知れぬ、ふたりの世界、絆がそこには存在する。
中川昭一&郁子夫人の場合
テレビのニュースを観て驚いた。ぶっ飛んだ。辞任前夜の2009年2月16日のことだ。中川昭一前財務大臣が報道陣の囲み取材に応えた後、自宅に入ろうとした。まさにそのときである。掛け声がテレビから飛び込んできたのだ。
「頑張れ、日本一」
「頑張れ、頑張れ、大丈夫」
声の主は自宅玄関にいた郁子夫人だった。
100年に一度の経済危機の最中、その対策を練るG7で、中川昭一は呂律の回らない朦朧(もうろう)状態で会見を行った。後日風邪薬の副作用と医師の診断があったが、飲酒疑惑は完全に晴れなかった。世界に恥を晒した責任をとって財務大臣を辞した。
四面楚歌の夫への叱咤激励だった。「日本一はないだろう」という意見もあるが、草野には逆境を支える強い愛が感じられた。どんなことがあろうとも、最後まで添え遂げる覚悟の発露だと思った。
蛇足ながら、郁子夫人は聖心女子中から高校、大学へ進み、そのお嬢さんは某テレビ局で放送記者勤めをしているそうだ。
玉置浩二&石原真理子の場合
大衆かわら版を見て久々に驚いた。意外だった。日刊スポーツの2009年2月25日の1面である。「歌手の玉置浩二と女優の石原真理子が復縁した」というスクープだった。
DVでの不倫解消、そして石原の暴露本出版と、このカップルはてっきり絶縁状態だと思っていたら、どうして再び結びついたのか。翌26日には結婚届を提出し、晴れて結婚したのだ。20余年の歳月を経て、愛し合うなんて奇跡だよね。
♪別れても 好きな人
ロス・インディオス&シルビアの「別れても好きな人」(佐々木勉作詞・作曲)なのか。
男と女の行く末なんて、なんでもアリーナなんでしょうな。障害を越える勇気ある愛がそこにはあった。
村田英雄の「夫婦春秋」の歌詞は、こう結んでいる。
♪それが夫婦と 軽くはいうが
俺とお前で 苦労した
花は大事に 咲かそうなァお前
× × ×
※敬称略。文章中に事実誤認、赤字などありましたら、ご指摘くだされば幸いです。
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