2012年1月29日日曜日

名物刀剣展:徳川美術館

家康が愛した刀剣は神々しく美しかった。
名古屋市の徳川美術館で特別展「名物刀剣―宝物の日本刀―」(201214日~25日)を観る。

×  ×  ×

刀といえば、俗っぽいので国定忠治ぐらいしか浮かばない。
――加賀の国の住人、小松五郎義兼が鍛えし業物(わざもの)
万年溜の雪水に浄(きよ)めて
俺にゃあ生涯 手前という強い味方があったのだ。
 故郷を追われ赤城山を降りる忠治が子分たちと別れる場面の名台詞(せりふ)だ。

♪男ごころに 男が惚れて
意気がとけ合う 赤城山
東海林太郎の「名月赤城山」や、広沢虎造の浪花節の世界である。

 
時代小説を読むので、新撰組隊長・近藤勇に「今宵の虎徹は血に飢えている」といわせた「長曽祢興里虎徹」も少しばかり知っている。

 
本展の刀剣は、国定忠治や近藤勇より高尚なのだろうか。
その辺がド素人でわからない。
ただ、展示されている刀剣は神々しく美しかった。

優れた名刀を「名物」と呼び、江戸時代中期の「享保名物帳」に登場する刀剣は特に尊ばれた。「享保」といえば、「享保の改革」の徳川8代、「暴れん坊将軍」吉宗である。享保4年(1719年)、「享保名物帳」は吉宗の命により研磨・鑑定を家業した本阿弥光忠(ほんあみこうちゅう)が全国に散在する古今の名物といわれる刀剣168振を選び、その由来を記した天下名刀の一覧表である。

 本展では国宝9件、重要文化財25件、重要美術品4件が展示されている。
構成
一、 名物刀剣の発生
二、 名物刀剣の展開
三、 名物刀剣の焼失 (1)於大坂城=大坂落城 2)於江戸城(明暦の大火)
四、 享保名物の編成 (1)名物三作 (2)諸国の名物
五、 御家名物

目を引いた刀剣
*刀 無銘 一文字 名物 南泉一文字=重要文化財 鎌倉時代13世紀
絢爛豪華な刃文を誇り、室町将軍家―豊臣秀吉―秀頼―徳川家康を経て尾張徳川初代・義直の所蔵

 
*短刀 銘 備州長船景光/元亨三年三月日 号 謙信景光=国宝 鎌倉時代元亨3年(1323
 指表に「秩父大菩薩」、裏に梵字の彫物を隠刻。謙信所蔵

*刀 金象嵌銘 本多中務所持/正宗 本阿(花押) 名物 中務正宗(桑名正宗)=国宝 鎌倉時代14世紀
 名物三作のひとつ。徳川四天王のひとり忠勝は家康に献上。徳川家伝来。

*短刀 無銘 正宗 名物 庖丁正宗=国宝 鎌倉時代14世紀
 家康の遺品(駿府御分物)として尾張家に譲られた。

 尾張藩は御三家の筆頭
・第一展示室 武家のシンボル―武具・刀剣―
・第二展示室 大名の数寄―茶の湯―
・第三展示室 大名の室礼―書院飾り―
・第四展示室 武家の式楽―能―
・第五展示室 武家の雅―奥道具―
・第六展示室 王朝の華―源氏物語絵巻―
と、さすがに収蔵品が充実している。見応え十分だった。
2012126日観覧

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