お盆の語らいに想う
お盆の墓参りを機に義兄宅に兄弟夫婦3組が集まったときの話題――。
その義兄がゴルファーの青木功に似ているという話から、「他にも誰かに似てるって言われたことがあるよね?」とふられると、「うん、山口なんとか」との応え。
山口ナニガシ……なかなか思い出せない。ようやくにして「山口崇じゃないか」ということになり、『山口崇』でひとしきり。「山口崇ってどんな人だっけ?」「ほら、俳優だよ。(テレビの)水戸黄門の(徳川)吉宗の役だよ」。
「そうだ」「そうだ」と一同ナットク。
しかし、実際には水戸黄門には吉宗は登場しない。吉宗が出ているのは「大岡越前」。TBS時代劇ドラマの勘違い。水戸光圀が幕政に影響力があったのは五代将軍綱吉の時代で、吉宗は八代さまだ。が、一同いっこうに気付かない。
そうこう話しているうちに、「山口でなくて、川口だ」ということが判明。「あっ、川口浩だ」。
まるで赤穂浪士の討ち入りの合言葉のようだが、『山』と言ってようやく『川』の正解が思い出したのだった。
この笑い話のメンバーはいずれも『アラ還』世代、少々ボケ?が入っているのと酒を飲んでいるので、どうぞ寛容の気持ちで読んでいただきたい。
× × ×
さて、川口浩といえば市川崑の「おとうと」などに出演した大映の二枚目。父は劇作家、小説家の川口松太郎で、母は女優の三益愛子。弟に川口恒と川口厚、妹に川口晶がいる。妻は女優の野添ひとみの芸能一家である。
浩でなく松太郎について書く。「鶴八鶴次郎」で第1回直木賞を受賞した。代表作は「愛染かつら」「新吾十番勝負」。「新吾―」は大川橋蔵主演で映画化された。橋蔵は凛々しい若武者だった。
「愛染かつら」は1938年(昭和13年)田中絹代、上原謙の主演で映画化されて大人気を博した。監督は野村浩将。
看護婦の高石かつ枝に田中絹代、医師の津村浩三に上原謙だった。メロドラマが女性の紅涙を絞った。
映画の主題歌が「旅の夜風」である。作詞は西條八十、作曲は万城目正のコンビで、歌唱は霧島昇とミス・コロムビアだった。大ヒットした。
♪花も嵐も 踏み越えて
行くが男の 生きる道
「愛染かつら」は津村浩三の菩提寺のかつらの樹で、この樹の前で愛する二人が愛を誓うと必ず結ばれるという言い伝えがあるそうだ。浩三と高石かつ枝が永遠の愛を誓うシーンがある。
この曲が縁で、霧島昇とミス・コロムビアと結婚している。
× × ×
お盆なので亡き母を偲ぶ。霧島昇の歌声が好きだった母は、懐かしのメロディなどの番組で霧島昇が「旅の夜風」を歌っていると、「声が落ちたねえ。昔は鈴(すず)を転がしたようないい声だったよ」と昔を懐かしんだものだ。
「鈴を転がす」という表現がなんともレトロだ。今じゃついぞ聞かれない。
※ランキング参加中。よろしければ1日1回クリックしてください。
※こちらも、よろしければ1日1回クリックしてください。
0 件のコメント:
コメントを投稿