黒い薔薇の裸婦
ぶらり散歩に出る。東京・六本木の東京新美術館で、現代日本画を代表する画家である「加山又造展」(3月2日まで開催)を観る。
足を運んだきっかけは、2009年1月31日にテレビ東京で放送された「美の巨人たち」で、彼の作品「冬」の特集を視聴したからだった。冬の雪山を背景に、二匹のオオカミ、カラスの群れ、盲目のカラスの構図から、凛とした味わいが作品に感じられたのだった。
ぜひ観たい。恥かしながら加山又造(1927年―2004年)を「日本画家」と知る程度で、作品にお目にかかったことはない。この機会に、と思い立った。あいにく「冬」は2月11日からの展示で、観ることはできなかったが、展示作品の数々にどれも圧倒された。目の保養であった。
作品展の構成は、
第1章:動物たち、あるいは生きる悲しみ
第2章:時間と空間を超えて
第3章:線描の裸婦たち
第4章:花鳥画の世界
第5章:水墨画
第6章:生活の中に生きる「美」
となっていて、絵画ばかりでなく絵付けした陶器、着物、装飾品まで100点あまりが展示されている。
印象に残ったのは、暗闇に咲き誇る桜と燃え上がる篝火(かがりび)を描いた「夜桜」、二匹の龍が躍動する水墨画の「龍図」、妖しいエロティシズムの「黒い薔薇の裸婦」などだった。
加山又造、恐るべし。
× × ×
加山又造の略歴=1927年(昭和2年)に、京都・西陣の祖父は絵師、父は和装図案家の家庭に生まれた。幼少から絵の才能を発揮、東京美術学校(東京芸術大学)を卒業。動物画、屏風絵、裸婦像、水墨画などに革新的な芸術世界を展開し、常に日本画壇に新風を吹き込んだ。2003年に文化勲章を受章。2004年に死去した。
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