2009年4月9日木曜日

あの名台詞:多羅尾伴内



*4月8日は、「忠犬ハチ公の日」だそうだ。ハチは飼主が亡くなった後も渋谷駅で帰りを待ち続けた健気な犬だ。1935年(昭和10年)3月8日に死亡したハチを偲び、命日の翌月4月8日に毎年行われている。数えて74回目の慰霊祭が、今年も渋谷駅のハチ公前で催された。
 このハチと飼主の物語がハリウッドスターのリチャード・ギア主演で映画化され、8月に公開される。題名は「HACHI 約束の犬」(監督・ラッセ・ハルストレム)。ギアは周防正行監督、役所広司主演の「SHALL We ダンス?」も「SHALL We Dance?」(2004年)としてリメイク映画の主演をしている。
 「ハチ公物語」は日本では1987年映画化(神山征二郎監督)され、仲代達矢が主演した。ギアの「HACHI 約束の犬」は仲代とは違う味わいがあるはずだ。


×  ×  ×
 映画の印象は主演スターの魅力に負うところが大きい。

 鞍馬天狗は嵐寛寿郎、座頭市は勝新太郎、渡り鳥は小林旭、寅さんは渥美清。そして、多羅尾伴内は片岡千恵蔵でなくてはならない。千恵蔵の映画に感化された少年たちがこぞって覚えたのが、あの名台詞だった。


七つの顔の男じゃよ。
ある時は私立探偵。
ある時は片目の運転手。
またある時は気障な中国人。
またある時はインドの魔術師。
しかしてその実体は、正義と真実の使徒、藤村大造!

 「多羅尾伴内」シリーズは、七つ顔を持つ男が登場し、難事件を解決する超娯楽ミステリーだ。大映で4作、東映で7作製作し、大当たりした。多羅尾伴内は眼鏡に口ひげのとぼけた老私立探偵で、七変化のひとつのキャラクターだ。犯人を追い詰めた最後の場面(クライマックス)で、変装を解きながら種明かしをする。その台詞が「ある時は‥‥」である。台詞のあと、二挺拳銃を構えた藤村大造と悪人どもの銃撃戦となり、藤村が勝利する。
 話の筋は荒唐無稽で、千恵蔵がどんなに変装しても、どのキャラクターも千恵蔵であることは一目瞭然なのだ。でも面白く、少年は熱狂した。草野球音は専ら東映作品を観たクチだ。このあたりの件は、林家木久扇の声帯模写つき新作落語「片岡千恵蔵伝」に詳しい。

 シリーズ11作品のラインアップ。
・七つの顔(1946年大映=松田定次監督)
・十三の眼(1947年大映=松田定次監督)
・二十一の指紋(1948年大映=松田定次監督)
・三十三の足跡(1948年大映=松田定次監督)
・片目の魔王(1953年東映=佐々木康監督)
・曲馬団の魔王(1954年東映=佐々木康監督)
・隼の魔王(1955年東映=松田定次監督)
・復讐の七仮面(1955年東映=松田定次監督)
・戦慄の七仮面(1955年東映=松田定次・小林恒夫監督)
・十三の魔王(1958年東映=松田定次監督)
・七つの顔の男だぜ(1960年東映=小沢茂弘監督)

 小林旭が東映で多羅尾伴内シリーズを受け継ぎ主演したが、当たらなかった。テレビでは高城丈二の多羅尾を観たことがある。

×  ×  ×※敬称略。文章中に事実誤認、赤字などありましたら、ご指摘くだされば幸いです。随時、加筆・訂正しております。七つの顔 [DVD] COS-036


 
 

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