大衆芸能的 京都巡り その一
通称『三十三間堂』として知られる天台宗蓮華王院は七条通りに面し、智積院や国立京都博物館にほど近い。和様、入母屋(いりもや)造りの本堂は、南北に120mと細長く、木造建築では世界一の長さを誇る(地上16m、奥行き22m)。
× × ×
粉雪舞う蓮華王院。2人の武者が対峙する。長い濡れ縁を走る宮本武蔵。彼を凝視しながら走るのは吉岡伝七郎である。名門・吉岡道場の嫡男、吉岡清十郎は武蔵に敗れ、剣士としての道を断たれた。武蔵を兄の敵と燃える次男の伝七郎。武蔵が迎え撃つ。
勝負は一瞬だった。
廊下を飛び降りた武蔵が一刀で伝七郎を斬り倒した。
この決闘の地は京都洛外とあるだけで三十三間堂と特定できないが、長い縁側を錦之助武蔵が疾走する姿は野性的な剣豪ぶりを活写していた。剣豪対決にふさわしいロケーションであった。
武蔵役は中村錦之助(のちの萬屋錦之介)、伝七郎役は平幹二郎、そして監督は内田吐夢だった。「宮本武蔵 一乗寺の決斗」は吉川英治の「宮本武蔵」を原作とした1964年(昭和39年)東映作品で、シリーズの第4作である。
・第1作 宮本武蔵(1961年)
・第2作 宮本武蔵 般若坂の決斗(1962年)
・第3作 宮本武蔵 二刀流開眼(1963年)
・第4作 宮本武蔵 一乗寺の決斗(1964年)
・第5作 宮本武蔵 巌流島の決斗(1965年)
錦之助の武蔵の宿敵・佐々木小次郎には高倉健が扮している。お通に入江若葉、又八は木村功だった。
宮本武蔵の映画は片岡千恵蔵、三船敏郎の主演でも制作されている。ちなみに三船作品の小次郎役は鶴田浩二で、監督は稲垣浩だった。
映画「一乗寺の決斗」のクライマックスは、一乗寺下り松の決闘シーン。清十郎、伝七郎が敗れた吉岡一門が名門の威信をかけ最後の戦いに臨むが、武蔵はそれを退ける。
三十三間堂は錦ちゃん武蔵の映画舞台だったのだ。
× × ×
三十三間堂は、長寛2年(1165年)後白河上皇が平清盛に命じて創建された。
国宝
・本堂
・木造千手観音坐像(附:木造天蓋)
・木造風神・雷神像
・木造二十八部衆立像
重要文化財
・南大門
・太閤塀
・木造千手観音立像(1,001躯)
× × ×
10余年ぶりの京都。降りしきる雨のなかの見学となった。運慶の嫡男・湛慶(たんけい)作、千手観音坐像は厳かに鎮座しており、また風神・雷神像、二十八部衆立像もなるほど国宝の風格を漂わせていたが、大衆芸能好きの草球kusatama にはガキのころ観た錦ちゃん映画により心を動かされたのでした。
2010年5月23日旅程・京都タワー⇒東本願寺⇒三十三間堂⇒東福寺⇒東寺
0 件のコメント:
コメントを投稿