2009年10月27日火曜日

「横浜」をつくった易聖

易聖・高島嘉右衛門
 
 高木彬光の『「横浜」をつくった男』(光文社文庫)を読む。副題として「易聖・高島嘉右衛門の生涯」となっている。「大予言者の秘密」1979年カッパ・ブックス(光文社)刊、1982年角川文庫刊の再文庫化したものだそうだ。
 横浜の高島町は高島嘉右衛門からとった地名で、世界の港・横浜の恩人というべき御仁である。日本初の鉄道は新橋―横浜間に1872年(明治5年)に開通したが、伊藤博文、大隈重信にその必要性を説き、横浜の入江の一部を埋め立て、鉄道路線の敷設に貢献している。外国公館の建設、旅館の経営、学校の設立、ガス灯の設備など公益事業で活躍した。
 実業家であるばかりでなく、「易聖」と呼ばれるほどに易断のよる占いはよく当たることで有名だった。日清戦争、日露戦争の占いは新聞にも掲載され、予言が的中した。また、伊藤博文の死期を予見し、自分の死期までも予知したほどだった。
 伊藤博文とは親交が深く、長女が博文の長男に嫁ぎ姻戚関係にあり、ブレーンでもあった。幕末に生まれ明治維新を生きた嘉右衛門の波瀾万丈の生涯が描かれている。

 嘉右衛門の名を冠した東横線の高島駅は廃止されたが、みなとみらい線に「新高島」駅ができている。Jリーグの横浜Fマリノスの施設「マリノスタウン」の最寄り駅で、2009年8月には日産自動車本社が東京・銀座から当駅付近に移転した。
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 易とは筮竹(ぜいちく)と算木(さんぎ)を使う占いだそうで、この本の中にたびたび「卦」の解説があるが、草野の頭では理解できなかったのであります(笑)。
2009年10月27日読了

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