2009年10月9日金曜日

沈壽官400年の伝統美

一子相伝の技冴える

 台風18号の勢いが鎮まったころを見計い、横浜駅西口の横浜タカシマヤ7F美術画廊で「薩摩焼 15代 沈壽官展」(2009.10.7~10.13)を観る。横浜タカシマヤ開店50周年の記念展とか。優美かつ精緻な細工――さすがに400年におよぶ歳月を経て受け継がれた伝統技術の冴えと感心し、目の保養となった。
 釈迦に説法になるだろうが、その歴史をかいつまんで書く。
15代沈壽官(ちん・じゅかん)は、慶長3年(1598年)豊臣秀吉の朝鮮出兵の帰途、島津義弘により日本に連行された朝鮮陶工の末裔である。陶工たちは鹿児島串木野島平に着船し、慶長8年に伊集院郷苗代川(現在の美山)に移住した。以来、約400年間、美山で脈々とその技術を一子相伝で継承し守ってきた薩摩焼の開祖宗家15代目。
 司馬遼太郎の「故郷忘れじがたく候」では、望郷の想いを抱きながら、異国で生き続けた朝鮮陶工の姿が描かれている。
2009年10月8日観覧

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