東映並みオールスター
堂場瞬一の「刑事・鳴沢了シリーズ」最終章「久遠(上)(下)」(中公文庫)を読む。
前夜会っていた情報屋の岩隈が殺される。鳴沢に容疑がかかる。疑いが晴れぬまま、警視庁公安部の刑事、山口が殺される。山口は同僚刑事、山口美鈴の父親で、過去の事件で関わりがあり、鳴沢の指紋のついたダンベルが現場から発見された。2つの殺人事件の疑惑に晒される。
自宅謹慎を命じられた鳴沢だが、命令を無視して立ち上がる。独自の捜査が進むなか、事件の奥行は深く、警視庁の内部抗争、アメリカの政界、中国マフィアが絡み、すべては鳴沢に結びついていた。そして殺された岩隈と山口はともに同じ事件を追っていたのだった。
・雪虫 2008/11/15記
・破弾 2008/11/29記
・熱欲 2008/12/13記
・孤狼 2008/12/18記
・帰郷 2008/12/30 記
・讐雨 2009/2/10記
・血烙 2009/3/22記
・被匿 2009/4/18記
・疑装 2009/5/31記
・久遠(上・下) 2009/8/25記
と、シリーズ最終の第10弾は上下巻で構成されている。
完結編らしくオールスター勢ぞろい。さしずめ「任侠清水港」(1957年)や「赤穂浪士」(1961年)の東映オールスター映画のようだった(笑)。
・元同僚で私立探偵の小野寺冴
・元同僚で万念寺住職の今敬一郎
・最愛の女性、内藤優美とその息子の勇樹
・優美の兄でニューヨーク市警刑事の内藤七海
・新潟県警時代の後輩刑事、大西海
・元東日新聞記者で小説家の長瀬龍一郎
・西新宿署署長の水城
・八王子市内の病院の医師、荒尾
と、お馴染みの鳴沢ファミリーともいえる常連が登場するのも楽しみである。
下巻の終盤で、長瀬が鳴沢をモデルに小説を書きたいという件はニヤリとさせられる。そのタイトルも「雪虫」だという。楽屋落ちっぽいが、筆者のサービス精神の表れと受け流す。
そして、最後のシーン。優美と鳴沢――久々の再会は‥‥。
2009年8月24日読了
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