2009年8月5日水曜日

B・ビュフェとアナベル展

重要な他人

 横浜駅東口のそごう美術館(そごう横浜店6階)で「ビュフェとアナベル―愛と美の軌跡 展」(7月29日~8月31日開催、会期中無休)を観る。1999年に自殺したビュフェの没後10年を記念して、静岡県長泉町にあるベルナール・ビュフェ美術館の所蔵品から約60点を展覧している。

 1928年パリに生まれたビュフェは、第二次世界大戦後、19歳で若手画家の登竜門アンデバンダン展に出品し、高い評価を得た。硬質で鋭い輪郭線、黒を基調とした色彩、独特な陰鬱な画風が不安感や虚無感を描き出し、人気を呼び、20代でパリ画壇のスターとなった。
 30歳のとき、南仏サン・トロペでアナベルと運命的に出逢う。美しい容貌のアナベルはモデル、歌手として活躍していた。半年後に結婚する。彼らは“重要な他人”siginificanto others として惹かれあった。
 結婚後、彼女をテーマにした作品を数多く手掛けている。また、彼の作風はモノトーンから色彩が付いてくる。
 後年、彼は体調不良に悩む。パーキンソン病を患い、絵筆を握るのに難儀するようになる。描くことが命であった彼は、死にとりつかれるようになる。晩年の作品には骸骨を描いたものが目立つ。
 そして1999年ついに自らの命を断つ。

 個人的には色が乗ってきた作品、「大運河」が好みだった。
 
×  ×  ×

 この蜘蛛巣丸太には、そごう美術館の企画展がたびたび登場しています。どの美術館よりも多いはずです。これは自宅からやたら近いという立地条件が原因です。そごう横浜店に、ぶらり散歩に出ることが多いのです。
 めったに混んでいないので、ゆったり観ることができます。

 蛇足ながら‥‥。
 ビュフェは1928年、日本でいえば昭和3年生まれ。先ごろ亡くなった“フジヤマのトビウオ”古橋広之進も同年の生まれだったことを思い出しました。彼がパリ画壇の新星だったころ、トビウオも世界新を連発していたのです。
2009年8月4日観覧

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