写楽そして北斎
ぶらり散歩に出る。
東京・両国の江戸東京博物館で「ボストン美術館 浮世絵名品展」が開催されている。以前からじっくり観たいと思って出かけたものの、なかなか人出が多く鑑賞するところまではいかない。
しかし、名品の数々、その彩色は鮮やかで見事である。新しくても150年が経っているはずだが、とてもそうは思えない。特に幕末期の作品などは今刷り上ったばかりのようで、保存状態の良さに驚かされる。感動がそこにはあるのだ。
ボストン美術館には5万点もの浮世絵版画が収蔵されているといわれるが、この展覧会では版画、肉筆画など137点が展示されている。
展示は4部構成となっている。
・浮世絵初期
・春信様式の時代
・錦絵の黄金時代~喜多川歌麿、東洲斎写楽
・幕末のビッグネームたち~葛飾北斎、歌川広重
浮世絵の誕生から幕末までの変遷を、名だたる絵師の作品で辿ることができる。
写楽と北斎に注目した。
東洲斎写楽は、ご存知のように謎に包まれた浮世絵師である。生没年不詳だ。寛政6年(1794年)に出版され、わずか10ヶ月にその作品は集中している。その後の消息は不明だ。阿波の能役者・斎藤十郎兵衛という説が有力だそうだ。展覧会では、「二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉」が目を惹いた。
葛飾北斎(1760年―1849年)は「冨嶽三十六景」の「山下白雨」があった。この「冨嶽三十六景」を描いたのが70歳前半という。その創作意欲に感嘆する。
音声ガイドを聞きながら回った。ナレーションは俳優の里見浩太朗が務めている。これも一興である。
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写楽と北斎で高橋克彦の推理小説を思い出した。高橋は、浮世絵の研究家である。1983年(昭和58年)「写楽殺人事件」で江戸川乱歩賞受賞し、「北斎殺人事件」を1987年に著している。「北斎―」では、ボストン美術館での殺人事件がストーリーの導入部となっている。
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