愛犬不在に寂寥の花見
願はくは花の下にて春死なむ その如月(きさらぎ)の望月のころ
春ごとの花に心をなぐさめて 六十(むそじ)あまりの年を経にける
――西行
× × ×
横浜駅の北東口改札から徒歩10分ほど、幸ヶ谷公園(神奈川区)は知る人ぞ知る桜の名所である。旧東海道の神奈川宿、宮前商店街を見下ろす小高い丘の上に小ぢんまりとした公園が広がる。園内は桜の林になっている。いつもは閑静な佇まいだが、花のころには人が集まる。
五分咲きだろうか。カミさんと訪れると、花見客がすでに10組余が杯を傾けていた。
去年は満開のころの花見だった。老犬連れだった。最期の桜かもしれない――予感があり、愛犬のポメラニアンに桜を見せた。彼はこの2月(如月)に老衰で死んだ。15歳だった。今年の桜は見せてやれなかった。桜を前に寂寥の思いがあった。
× × ×
「六十あまりの年を経にける」齢アラ還。西行法師の心境が解りはじめてきた、なんて言うつもりはございません。まだまだ草球の心うちには邪念、妄想、煩悩が渦巻いておりますな。
0 件のコメント:
コメントを投稿