2008年7月22日火曜日

写真:スフィンクスと侍


横浜美術館にて

 大暑。ぶらり散歩に出る。
 横浜・みなとみらいの横浜美術館で、茂木健一郎、はな、角田光代、荒木経惟の4氏をゲストキュレーターとした展覧会を開催(8月17日まで)している。4氏が同美術館のコレクションから選定し、各セクションを構成している。
 横浜市長の中田宏が選定した「この1点!」も紹介されている。
 目を惹いたのは中田市長の「この1点!」だった。1864年(元治元年)、遣欧使節団がエジプトの名所スフィンクスをバックに映っている写真である。150年ほど前の幕末のシロモノで、スフィンクスと羽織、袴の侍の対象が、なんとも面白いのだ。左下に「A.Beato」の署名がある。
 遣欧使節団は、文久3年(1863年)にフランスとの外交交渉のため、フランス艦モンジュ号で横浜を発った。
 1858年に米、英、仏、蘭、露5カ国と貿易を行う修好通商条約を締結したが、日本国内は攘夷の嵐が吹き荒れ、外国人を襲う事件が頻繁であった。幕府は開港をしたものの、世情不安に動揺し、しばらく閉港を願い出る交渉を行うことになった。そのための遣欧使節であったが、結局、交渉は不調に終わる。
 当時、まだスエズ運河は工事中(開通は1869年)だった。
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 A.Beatoはアントニオ・ベアトで、その兄弟はフェリックス・ベアト(F.Beato)である。当時、F.Beatoは幕末の日本に滞在しており、明治初期まで日本の風俗、風景などを撮影している。
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 大暑の横浜・みなとみらいは、スフィンクスが佇むギザの熱風が届いたように、熱かった。
 

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