2012年3月3日土曜日

大沼紀子「真夜中のパン屋さん」

カッコウの子・希実と暮林と弘基とパン屋の客の面々
 大沼紀子の「真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ」(ポプラ文庫)を読む。

「ブランジェリークレバヤシ」は、都会の片隅で真夜中だけ営業するパン屋さん。眼鏡をかけた優しそうなオーナー暮林陽介と、若く腕のいいパン職人の柳弘基の二人で切り盛りしている。そろってイケメンである。
  そこに、「カッコウの托卵」のようにいろいろな家庭にあずけられ、あげくに母が失踪してしまった女子高校生の篠崎希実が訪ねてきた。
 希実は暮林の妻・美和子の腹違いの妹と名乗った――。


目次
Open
Fraisage―材料を混ぜ合わせる―
Pétrissage & Pointage―生地捏ね&第一発酵
Division & Détente―分別とベンチタイム 
Faonnage & Apprét―成形&二次発酵
Coupe―クープ
Cuisson avec buée―焼成

 店が開くのは午後23時、閉店は午前29時。深夜営業の風変わりなパン屋にはいわくつきの面々が集まる。パン屋の居候の希実、オーナー暮林、職人の弘基が、ワケあり客と織りなす人情ドラマが展開する。
 希実も暮林も弘基もワケあり人です。

*托卵(たくらん)
自分では巣をつくらず、ほかの鳥の巣に卵を産み、子育ての世話をその巣の親鳥に任せてしまう鳥の習性。種間托卵で知られるのはカッコウなどのカッコウ科の鳥類。


 最近読書が捗らないので、軽く読める本と思い本屋で見つけ、読みだしたが、相変わらず苦戦した。
 2012年はこれで読了3冊と遅読。
  続編「真夜中のパン屋さん午前1時の恋泥棒」が刊行されたそうな。
2012228日読了
 
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2012年2月25日土曜日

白戸家お父さんの「青い山脈」

カイくんとトリンドル“タダ”がサイクリング
実にどうでもいい話だが……(ポリポリ)。
チャリンコに乗った白いイヌが歌う(ハミング)CMが気に入っている。
白いイヌは白戸家のお父さん(カイくん)で、伴走するのは留学生のタダちゃん(トリンドル怜奈)。数々の人気CMを生んだソフトバンクの新作である。


 
あの歌はまさしく昭和の名曲「青い山脈」。
藤山一郎さんが正確な歌唱で歌っていたっけ。
♪若く明るい 歌声に
雪崩は消える 花も咲く
作詞は西條八十、作曲は服部良一の大御所コンビと、ヒット曲になるべくしてなった感がする。

「青い山脈」は、石坂洋次郎さん(1900年―1986年)の戦後間もないころの男女交際を描いた青春小説で1947年(昭和22年)朝日新聞に連載されたそうな。

 1949年に原節子の島崎雪子(先生)、生徒の寺沢新子に杉葉子のキャストで東宝が映画化し、大ヒットした。監督は今井正。

 以後も何度か映画化されましたが、私が印象に残っているのは、1963年の日活版。西河克己監督。
ちなみにキャストは、
・寺沢新子:吉永小百合
・金谷六助:浜田光夫
・富永安吉:高橋英樹
・島崎雪子:芦川いづみ
・沼田玉雄:二谷英明
 小百合さんが若くハツラツとしていた。

 ところで、白戸家の新参者の留学生のタダちゃん。ハワイ出身と自己紹介していますが、鳥取県の「はわい」だそうな。羽合町(はわいちょう)は県の中央付近に位置し羽合温泉が有名とか。
 トリンドル怜奈のセーラー服姿が愛らしい。
 実にどうも、どうでもいい話で……(ペコリ)。

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2012年2月23日木曜日

丸山明宏の「ヨイトマケの唄」

「ヨイっと巻け」が語源だそうな。
旧聞で恐縮だが、NHKの「ブラタモリ」のこと。16日の放送。
番組で「江戸の運河」を扱っていた。
徳川家康が江戸の物流のために築いた小名木川を探訪していた。
古地図に残る「六間掘」の痕跡をたどって住宅地をぶらぶらしていたタモリ一行に、主婦が「このあたりは終戦後がれきの置き場所として埋め立てられ、『ヨイトマケの唄』を歌って工事していた」と、語っていた。

ふーん、あれだな。聴いたことある唄に、懐かしさに誘われた。


――父ちゃんのためなら、エンヤコラ 母ちゃんのためなら、エンヤコラ もひとつおまけに、エンヤコラ
♪今も聞える ヨイトマケの唄
今も聞える あの子守唄

美輪明宏が丸山明宏時代に作詞作曲した「ヨイトマケの唄」だ。1964年(昭和39年)の作品で、歌詞に「土方(どかた)」という差別語がりテレビでは敬遠されたが、かなりヒットした曲である。土木作業の日雇い労務者の母親を歌っているが、このヨイトマケの光景は私の生まれ育った川崎では昭和30年初頭まで見られた。
工事現場で歌っていたっけ。
聴いていると、即興で歌い、なにやら卑猥なフレーズも出てきたりもした。

「ヨイトマケ」とは、地固めする際、重い槌(つち)を数人がかりで滑車を上下するときの掛け声で、滑車の綱を引っ張るときに「ヨイっと巻け」と言い合ったことが語源だそうな。それが転じて、その労働者をさす言葉となった。
ヨイトマケの多くは女性で、稼ぎの少ない夫を助けたり、夫に先立たれ家族を養う妻の仕事でもあった。

美輪明宏と改名したのは1971年だった。1957年シャンソンの「メケメケ」でヒットし、その女より美しい容姿で注目を浴びた。
ハイヒールにマンボズボン姿に、ガキのころなんと軟弱な野郎と思っていました(笑)。さすがに「非国民」なんて言葉は戦後生まれだから使わなかったけど、ね。

 
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2012年2月18日土曜日

作家と万年筆展:神奈川近代文学館

弘法は筆を選ばず。そして作家は万年筆を選ぶ。
 「作家と万年筆展」(2012114日~226日)を横浜・山手、港の見える丘公園内の神奈川近代文学館で観る。 明治の文豪、夏目漱石から現在活躍中の浅田次郎や伊集院静に至るまで商売道具である愛用の万年筆と、その自筆原稿を展示している。


本展構成
・第1部:名作を生んだ万年筆たち―夏目漱石から井上ひさしまで
・第2部:手書きの魔力―現在の作家と万年筆

弘法筆を選ばず――というが、作家は万年筆を選ぶ。

――そりゃあ万年筆というのは、男が外へ出て持っている場合は、それは男の武器だからねえ。刀のようなものだからねえ……池波正太郎「男の作法」から
大小の拵(こしら)えは武士のたしなみ、いや命に匹敵するもの。そんな考えを持って、池波さんは「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」などの人気シリーズを書いたのだろうか。男らしい自由闊達な筆致の「鬼平」の自筆原稿が展示されていた。
実にのびのびした、いい筆運びなだなぁ。
ちなみに池波さんの拵えは、「国産手作り万年筆」でした。

展示のあった主な作家と万年筆
・夏目漱石:「オノト」と知られるイギリスのデ・ラ・ルー社製万年筆
・大佛次郎:モンブラン・マイスターシュテュック74
・江戸川乱歩:パイロット・RT170F53R
・井上ひさし:ペリカンM450

 私事ながら還暦の祝いで2人の娘に贈られた万年筆は、「モンブラン・マイスターシュテュック149」。分不相応な高級品である。

 ワープロソフトを用いてパソコン入力する作家が多いなか、万年筆で原稿を書く伊集院静さんが同タイプを愛用していることを初めて知った。
 伊集院さんの字は、男でも惚れそうくらいに流麗だったなぁ。

 下手くそでもいい。己らしい字を書きたい。そして筆まめになりたい。そんな気持ちにさせられる展示であった。
2012216日観覧

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