2009年11月15日日曜日

鳥羽亮「与三郎の恋」

長身イケメンの銀次

 鳥羽亮の「まろほし銀次捕物帳―与三郎の恋」(徳間文庫)を読む。一角流十手術に伝わる特殊な小武器「まろほし」の遣い手で江戸の岡っ引き・銀次が活躍するシリーズ。

・団扇(うちわ)の血痕
・女変化
・怪盗猿(ましら)小僧
・老盗
・魔剣、提灯(ちょうちん)斬り
・与三郎の恋
の6編からなる連作となっている。
 シリーズものは登場人物に親近感を抱く。主人公の銀次は長身イケメン独り者の十手持ちで、下谷、池之端界隈では「池之端の親分」「まろほしの親分」と呼ばれ、歳は若いが人に知られる存在だ。母親おそでは小料理屋、嘉乃屋を営む。銀次の手先には、事件のないときは嘉乃屋の板場を手伝う与三郎と、松吉がいる。神道無念流の達人でさびれた道場の主・向井藤三郎と北町奉行所定廻り同心、島崎綾之助などがレギュラー陣である。
 「団扇の血痕」は松吉、「魔剣、提灯斬り」は向井藤三郎、「与三郎の恋」では与三郎と、銀次を取り巻く脇役にスポットがあたるスピンオフ的な作品となっている。「怪盗猿小僧」と「老盗」は義賊ともいえる盗人の心情を描いている。
2009年11月14日読了

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