吉村昭の記述
コレって、不思議だよね。
改造したばかりの福田内閣支持率が、朝日と読売で段違いである。
朝日新聞社は「横ばい24%」、片や読売新聞社は「好転41%」と、2008年8月3日の紙面ならびに電子版が伝えている。どちらも8月1日と2日の緊急世論調査(電話方式)によるという。
内閣支持率は朝日が低め、読売高めの傾向となっているが、今回の17%という差は珍しい。というより、こんなに世論調査の結果がなぜ違うのだろうか。あり得ない差異ではないか、と思う。
発行部数において日本のトップ2を誇る2紙だけに、大いに気になるところだ。
× × ×
さて、新聞といえば、新聞の父といわれるジョセフ彦のことを書いた歴史小説「アメリカ彦蔵」(吉村昭著=新潮文庫)を読む。
吉村昭の本は、恥かしながら、今まで読んだことがなかった。難(かた)そうで敬遠していた。
興味を抱く幕末を題材した小説を数多く書かれているので、向学のためにも「食わず嫌い」を捨てた(ご大層な言い方か)。読み出すと、その取材力の周到さに圧倒される。とても及びもつかぬ。頭が下がる。耽読した次第である。
「新聞の父:ジョセフ彦」(2008年7月17日記)では、リンカーンのゲティスバーグの演説記事を読んで、新聞発行の意を強くしたと書いたが、吉村昭著では記述がなかった。草野球音はどこぞで読んだ記憶で書いたものだが、吉村は自ら確認したことだけを信用して書いている。彼の書いたものに、「どこぞ」などという中途半端な記述は一切ないのだ。ゲティスバーグの件は、彼の取材では”裏”が取れなかったのではないか、と推測する。
「私(吉村昭)は小説を書くとき、その裏付けとして取材するが、まず他人の書いたものを信用しない。自らの足で歩き自らの耳で聴くことに徹する」。
彼は信念の記述をする書き手である。
コレって、まさに、新聞報道の基本ともいえるものではないか。
とかくいい加減な記述のある草野球音、いたく勉強となった「アメリカ彦蔵」だった。でも、とても真似はできないのだ。
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