2008年10月7日火曜日

源氏物語1000年に想う

人口男女比

 ぶらり散歩がてらに横浜美術館に入った。横浜・みなとみらいの当館は自宅から歩いて行ける貴重な文化施設で、7月の大暑の候に寄って以来である。

 特別展は「源氏物語の1000年~憧れの王朝ロマン~」だ。

 紫式部が書いたといわれる「源氏物語」は、平安時代中期に執筆されたとされるが、確かな執筆年は特定されていない。
 紫式部日記には、寛弘5年(1008年)に源氏物語と思われる物語の冊子作りをしたと記述があるそうで、ここを起点にすると、今年が1000年目のアニバーサリーになるという。
 ちょうど1000年に当たるかどうかは別として、世界に誇る日本文学の名作が、世に出て凡そ1000年が経過したことは間違いあるまい。

 恥かしながら、草野球音は源氏物語を読んでいない。高校時代に古文の授業で、断片的にさわりを勉強したに留まる。よって、詳しい内容は書かない。
 
 平日の午前中だというのに、結構な人出である。スムースに閲覧できないほどだ。見物人の属性は、高齢化社会を実感するほどに、60歳以上が大半。男女比は、約7割が女性というところ。元気なおばさんが実に多い。

 総務省統計局の人口推計のデータを見てみよう。
 2008年(平成20年)9月1日現在(概算値)の「年齢(5歳階級)、男女別人口推計」では、
0歳~4歳 男277・女264(単位=万人)
20歳~24歳 男365歳・女346
30歳~34歳 男458・女445
40歳~44歳 男423・女416
45歳~49歳 男390・女387
50歳~54歳 男391・女392
60歳~64歳 男436・女457
70歳~74歳 男322・女375
80歳~84歳 男156・女248
85歳以上 男94・女250
となっている。
 出生時から4歳までの男女の人口比は、男性277万人に対して264万人と13万人少ない女性だが、40代までその差を3万人と縮め、50代に入り初めて逆転する。50歳~54歳では1万人上回り、60歳~64歳で21万人、70歳~74歳で53万人、80歳~84歳で92万人と年を追うごとに差を広げる。85歳以上となると、男性94万人に対して250万人と、実に146万人の大差となり、「勝負あった」となる。

 高齢化ニッポン、女は男を凌駕する。

 そういえば、平安朝の”おんとき”も、紫式部、清少納言らが健筆を揮った「女性の時代」であった。

2008年10月4日土曜日

佐伯泰英「居眠り磐音」

easy-reading

 佐伯泰英の“居眠り磐音江戸双紙シリーズ第27弾「石榴ノ蠅」”(双葉文庫を読む。いつもながら飽きさせず、気楽に読ませてくれる。

 第1弾の「陽炎ノ辻」から数えて27冊も文庫を読んだことになる。
 陽炎ノ辻/寒雷ノ坂/花芒ノ海/雪華ノ里/龍天ノ門/雨降ノ山/狐火ノ社/朔風ノ岸/遠霞ノ峠/朝虹ノ島/無月ノ橋/探梅ノ家/残花ノ庭/夏燕ノ道/驟雨ノ町/蛍火ノ宿/紅椿ノ谷/捨雛ノ川/梅雨ノ蝶/野分ノ灘/鯖雲ノ城/荒海ノ津/万両ノ雪/朧夜ノ桜/白桐ノ夢/紅花の邨/石榴ノ蠅
 「居眠り磐音江戸双紙」読本にある番外編「跡継ぎ」も含めて、ほぼ完全制覇(?)している。佐伯泰英の他作品では「密命シリーズ」(祥伝社文庫)も「寒月霞斬り」から「残夢」まで11巻読んだところで、現在休止中である。

 登場人物がキャラクターに富み、多彩である。内容については、これから読まれる方もいるので触れないが、主人公の坂崎磐音(後に佐々木家に養子となり佐々木姓となる)、妻となる江戸小町のおこん、磐音の許婚で花魁、白鶴になる奈緒、道場主で磐音の養父となる佐々木玲圓、両替商・今津屋の老分の由蔵、貧乏御家人の友である品川柳次郎、そして徳川10代将軍の嫡男、家基などが生き生きとドラマを展開する。
 奈緒が好みだ。磐音の許婚から苦界に身を沈め、吉原では白鶴と名乗り、松の位の花魁にのぼり詰め、山形の紅花商人に落籍される。数奇な運命に翻弄されるが、ひたむきに磐音を愛す姿が健気で、実によいのだ。

 毎巻のお約束のチャンバラも魅力だ。豪剣・備前包平が冴えわたる。

 剣あり、恋あり、1950年代の東映時代劇を彷彿させるのだ。片岡千恵蔵、市川右太衛門、月形龍之介、大友柳太朗、中村錦之助、東千代之介、大川橋蔵らが颯爽と斬りまくっていた、あのころの時代劇である。肩の凝らない娯楽チャンバラ映画は懐かしい。

 さて、今後の行方はどのような展開になるのだろうか。
 史実によれば、10代将軍の家治の長男である徳川家基は18歳(満16歳)で夭逝している。幼年期から文武両道に長け、将来の名君を期待されていたが、11代将軍は家斉が一橋家から継いでいる。ちなみに、家斉は男子26人・女子27人の子女を儲けた「オットセイ将軍」として知られる。
 家基はどうなるのだろか。
 

2008年9月28日日曜日

東野圭吾「容疑者Xの献身」

東野圭吾の「容疑者Xの献身」(文春文庫)を読む。
シロイヌだね。何かって? 尾も白い(面白い)――。












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専ら時代小説、江戸ノベルを読んでいるが、たまには口直しもする。天才物理学者の湯川学を主人公とした「探偵ガリレオ」「予知夢」なども読んでいる。東野圭吾はこの「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞している。5度ノミネートされ落選していた東野なので、悲願の受賞といえるかもしれない。

 またフジテレビの「月9ドラマ」で、福山雅治、柴咲コウ主演の「ガリレオ」も観ていた。この劇場版として「容疑者Xの献身」(東宝:西谷弘監督)が映画化されたという。

 湯川学(福山雅治)と並ぶこの作品での主人公である、天才数学者の石神哲哉役は堤真一だそうだ。湯川の帝都大学の同窓生であり、「ダルマの石神」と異名を持ち、現在頭髪が薄くなったメタボ風の体型と堤とは似つかわしくないように思えたが、映画評なども概ね堤の演技は好評である。意図があってのキャストだし、草野球音が心配することではないだろう。
 小説の最後では、留置所で石神は花岡靖子(松雪泰子)が出くわし、号泣するが、映画ではどう描かれるのだろうか。

2008年9月25日木曜日

756号が飛んできた!

王貞治の辞任

 博多の夜が咽(むせ)び泣いた。

 せめて勝っていたら‥‥。勝って終われらせてあげたかった。
昨日から新聞を読みテレビを観ながら、涙が出てならない。堪(こら)えると、今度は鼻水が止まらなくなった。歳をとると、どうもシマリがなくなってけねぇや。

 2008年9月23日に辞任を表明したプロ野球福岡ソフトバンク・ホークスの監督、王貞治(68)は翌24日本拠地福岡ヤフードームでの本拠地最終戦に臨んだ。試合はオリックスに1―4と、ラストゲームを飾ることはできなかった。
 試合後、集まった観衆3万5526人に辞任を報告した王は、ナインから胴上げされ、美しく舞った。そして去った。

 通算本塁打数868本を記録し「世界の王」といわれた栄光の現役22年、日本一2回、世界一(WBC)1回を成し遂げた監督19年――これが、不世出のプロ野球人の最後のユニホーム姿なのだろうか。

×  ×  ×

 あれは1977(昭和52)年9月3日だった。あのとき、球史に残る打球は、目の前に飛んできた。
 後楽園球場で行われた巨人―ヤクルト戦。王はヤクルトの鈴木康二朗からハンク・アーロンの持つ世界記録を破る756号を右翼席に叩き込んだ。
 当時担当のヤクルトは優勝争いからはずれ、注目は王の世界記録一色だった。担当球団の取材を離れ、右翼席に世界新の本塁打が放たれることを予想して、試合開始から陣取っていた。そこに756号が飛んできたのだった。
 打球を捕った(拾った)男性は、歓喜のファンが殺到し、もみくちゃになった。
 その男性は、スタッフに護られて球場事務所に駆け込んだ。貴重なホームランボールを渡し、その替わりに記念品と王のサイン入りボールと色紙を手にした。
 汗びっしょりの取材だったと、記憶している。

 打たれた鈴木康二朗は奮起して、翌1978年13勝を稼ぎ、ヤクルト球団史上初めてのリーグ優勝・日本一に貢献した。近鉄に移籍後も救援投手として活躍した。

 後楽園球場には、世界新の打球が落下した右翼席の地点に記念のモニュメントが設置された。現在は、東京ドーム内の野球博物館に飾られている。