*「小早川」は「こはやがわ」と読む。
河瀬直美監督の「あん」を観たとき、静謐な映画もいいなぁと、思いついたのが小津安二郎です。「小早川家の秋」が観ていないぞ。久びさに懐かしい役者に会えて愉しいひとときでした。
× ×
小津安二郎監督の映画「小早川家の秋」1961年を観る。
脚本:野田高梧 小津安二郎
撮影:中井朝一
音楽:黛敏郎
配給:東宝(宝塚)
出演
中村鴈治郎:小早川万兵衛
原節子:小早川秋子(長男の妻=未亡人)
司葉子:小早川紀子(次女)
新珠三千代:小早川文子(長女)
小林桂樹:小早川久夫(文子の夫=入り婿)
森繁久弥:磯村英一郎
加東大介:北川弥之助(万兵衛の義弟)
宝田明:寺本忠
浪花千栄子:佐々木つね
団令子:佐々木百合子
杉村春子:加藤しげ(万兵衛の妹)
山茶花究:番頭・山口信吉
藤木悠:店員・丸山六太郎
白川由美:中西多佳子
遠藤辰雄:林清造(万兵衛の弟)
環三千世:ホステス
笠智衆:農夫
望月優子:農夫の妻
京都伏見の造り酒屋「小早川」の当主、小早川万兵衛は、家業を長女の入り婿・久夫に継がせ楽隠居の身だ。長男はすでに亡くなり、妻の紀子は御堂筋の画廊に勤めている。
このところ万兵衛の様子がおかしい。
万兵衛はひょんなことで再会した昔の愛人佐々木つねと娘の百合子の元に通っているのだった。つねは祇園で小さな旅籠を営んでいた。
未亡人の秋子は縁談に二の足を踏む。次女の紀子は見合いをしたものの、大学時代の恋人に想いを寄せていた。
松竹を拠点に活動していた小津が東宝(宝塚映画)で制作した唯一の作品。
いきなり物語が原節子と森繁久弥の再婚話で始まる。おーと興味が湧く「掴み」です。橋渡しをするのが中村鴈治郎の義弟役の加東大介。配役の妙がいい。
大学の先生の未亡人と成り上がりの町工場の社長、どう見ても不釣り合いなんだけどね。
中村鴈治郎が絶妙な演技をみせている。女道楽で競輪好きで、どことなく憎めないかわいさがある。
杉村春子も出番は少ないが、笑って泣いて故人を語る芝居は唸る。
そしてラストシーンに登場は小津作品常連の笠智衆だ。望月優子と夫婦の農夫。河原で鍬を洗っているときに火葬場から煙が上がる。見ながら呟く。
「また死んだんや。せんぐりせんぐり生まれる」
これが小津安二郎さんの死生観なのでしょうか。
万兵衛の死をきっかけに、「小早川」は大手と合併し、紀子は一人で生き、紀子は恋人のいる札幌に向かう__それぞれの秋を迎えます。
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2019年1月30日観映 #349
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