*光の質感とフェルメール・ブルーに魅了されました。
「手紙を読む青衣の女」「手紙を書く女」「手紙を書く女と召使」―現存作品数30数点と寡作の画家、ヨハネス・フェルメールの3点を鑑賞できる「フェルメールからのラブレター展」が、京都・左京区岡崎公園内の京都市美術館(2011年6月25日~10月16日)で開かれている。「青衣の女」は修復後の初公開。いずれも「手紙」をモチーフにした作品で、300余年の時を経て届くフェルメールからのメッセージに触れる展覧会。
*ヨハネス・フェルメール(1632年―1675年)
17世紀のオランダ風俗画家。綿密な空間構成、巧みな光と質感が特徴。寡作。22年の画歴で現存作品は33~36点と少ない。「真珠の首飾りの少女(青いターバンの少女)」「牛乳を注ぐ女」など名作で知られる。鮮やかな青は「フェルメール・ブルー」と呼ばれ、ラピスラズリーを砕いた顔料ウルトラマリンに由来している。
・「手紙を読む青衣の女」1663―64年頃=アムステルダム国立美術館所蔵
青い部屋着を着た女が熱心に手紙を読んでいる姿を描いています。部屋には彼女ひとり。遠くにいる恋人からの便りでしょう。彼は遠く離れていて、長い間ふたりは逢っていないでしょう。彼に思いを馳せているのでしょうか。
最近の画面浄化と修復で、とりわけ青が鮮やかでしたぞ。
・「手紙を書く女」1665年頃=ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵
若い女性が黄色のモーニング・コートを着て、テーブルに向い手紙を書いています。ラブレターでしょう。彼女はこちらに顔を向けています。なぜ?
彼女はスポットライトが当てられたように光って見えました。
・「手紙を書く女と召使」1670年頃=アイルランド・ナショナル・ギャラリー所蔵
婦人が机に向い手紙を書くのに夢中になっています。後ろでは召使が、手紙を書き終えるのを待っています。女主人の机の前の床には投げ捨てられた手紙があります。便りの内容が気に召さなかったようですが、気を取り直し返信しているところでしょうか。
鑑賞眼不足で名作にイマイチ迫れませんし、フェルメールからメセージを読み解くことはできませんが、3作品ともに静謐な空間が漂っていましたぞ。
× × ×
大航海時代の17世紀オランダはヨーロッパでもっとも識字率の高い国で、手紙によるコミュニケーションがいち早く開花していた。本展では手紙というツールを通して、オランダ絵画を展観する。副題は「コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ」。
本展・構成
・第1章:人々のやりとり―しぐさ、視線、表情
・第2章:家族の絆、家族の空間
・第3章:職業上の、あるいは学術的コミュニケーション
・第4章:手紙を通したコミュニケーション
× × ×
フェルメールが活躍した当時の日本は鎖国政策をとっていましたが、オランダを欧州の中で唯一受け入れ、小規模ながら長崎の出島で交易していました。オランダから日本に手紙を出すと、東インド会社を介して1年がかりで出島に届き、その返事をオランダで受け取るには2年を要したそうです。
展示のコリネリス・デ・マンの「薬剤師イスブラント博士」(1667年頃)では、博士は日本の着物からデザインしたガウンを着ている、と音声ガイドで聴いて、日本とオランダの繋がりに感じ入った次第です。
京都市美術館では、本展と「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」が同時開催していました。7月に東京国立新美術館で観た「印象派・ポスト印象派コレクション」です。モネの「日傘の女性」ゴッホの「自画像」セザンヌの「赤いチョッキの少年」など名画ぞろいでしたな。
*「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」:国立新美術館=2011年7月23日記
2011年9月29日観覧
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