早慶6連戦の連投を記憶に留めたい
2010年の六大学野球秋季リーグ戦は、早慶での優勝決定戦にもつれ、早稲田が斎藤佑樹の好投で優勝を飾った。早慶戦の優勝決定戦は1960年(昭和35年)以来50年ぶりだった。
× × ×
13歳の野球少年だった。スポーツ新聞好き。朝、新聞は野球欄から読むことが日常だった。あのときの野球記事、いやスポーツ欄は、あの男でもちきりだった。
伝説のアンダースロー安藤元博である。 ※敬称略
昭和35年・1960年は早慶6連戦の年だった。
いろいろな出来事があった。
日米安全保障条約の締結、安保反対デモ、岸信介内閣の退陣、池田隼人の総理就任、右翼少年山口二矢による社会党委員長・浅沼稲次郎刺殺事件、そして石原裕次郎と北原三枝の結婚……。
♪アカシアの雨に打たれて
このまま死んでしまいたい
ビブラートを効かせない乾いた西田佐知子の歌声が巷に流れていた。60年安保の象徴的な曲といわれた「アカシアの雨がやむとき」(作詞・水木かおる:作曲・藤原秀行)だ。
それでも草野球音の一番は早慶6連戦の安藤元博だった。
≪早慶6連戦≫
早稲田の監督は石井連蔵、慶応は前田祐吉だった。早稲田のエースは安藤元博(東映)、バッテリーを組む捕手は野村徹、打の中心は徳武定之(国鉄)。慶応の投は左腕の清沢忠彦と角谷隆、捕手は大橋勲(巨人)、打線には榎本博明、安藤統男(阪神)、渡海昇二(巨人)と実力者揃いだった。
・第1戦:11月6日神宮
早稲田000 001 100=2
慶 応000 000 001=1
勝利投手・安藤元―野村 敗戦投手・清沢、角谷、丹羽―大橋
・第2戦:11月7日神宮
慶 応120 000 001=4
早稲田001 000 000=1
勝利投手・角谷―大橋 敗戦投手・金沢―野村
・第3戦:11月8日神宮
早稲田100 000 011=3
慶 応000 000 000=0
勝率投手・安藤元―野村 敗戦投手・清沢、丹羽―大橋
・優勝決定戦:11月9日神宮
早稲田000 000 001 00=1
慶 応010 000 000 00=1
W安藤元―野村 K角谷―大橋
・優勝決定戦再試合:11月11日神宮
早稲田000 000 000 00=0
慶 応000 000 000 00=0
W安藤元―野村 K角谷、清沢―大橋
・優勝決定戦再々試合:11月12日神宮
早稲田020 010 000=3
慶 応 000 010 000=0
勝利投手・安藤元―野村 敗戦投手・角谷、清沢、三浦、丹羽―大橋
安藤元博は6連戦中5試合に完投、第3戦からは4戦連続の完投で実に49イニング、564球を投げ抜いた。
わずか1週間で5完投、49イニングで3失点という離れ業を演じた。脅威のスタミナ、見事な精神力といえる。
1962年に東映に入団。新人で13勝8敗、防御率2.32、同じ新人の尾崎行雄ともにリーグ優勝に貢献し、阪神との日本シリーズでも2勝を稼ぐ活躍を見せた。その後はパッとせず、1965年の巨人を最後に現役引退した。プロ通算成績は17勝16敗だった。
1996年、56歳の若さで亡くなっている。
× × ×
お腹のあたりでグラブと右手を抱え込んでタメを作る投球フォーム。あのアンダースローが瞼に焼きついている。
斎藤佑樹から安藤元博に想いを馳せた。
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