『ライ麦畑でつかまえて』The Catcher in the Rye は1951年に出版され、若者から圧倒的な支持を受け現在までに全世界で約6,000万部も発行されている。日本では1964年(昭和39年)に野崎孝の訳で『ライ麦畑でつかまえて』というタイトルで世に出ており、2003年には村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』が出版され、およそ半世紀にわたり世代を超えて愛読されている。
学業成績が悪くボーディング・スクール(寄宿学校)を退学させられた16歳のホールデン・コールフィールドが実家に戻るまで、ニューヨークの街を彷徨する3日間を描いている。
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昭和43,44年に読んだ。大学生ころだった。サリンジャーが発表した1951年は昭和26年で、野崎孝訳も昭和39年だから、すでに時間が経っていたが、実に鮮烈にアメリカの若者の生態が伝わってきた。あのころ、USA留学に憧れた。物質的に豊かで、洗練された文化があり、夢があった羨望の国だった。
野崎孝訳で読んだ。英語を学んでいたものの、情けないことに、英語の原書ではほとんど読まなかったなぁ。原書を読みこなす英語力がなかった。
アーネスト・ヘミングウェイも、F・スコット・フィッツジェラルドも、ジョン・スタインベックも、トルーマン・カポーティも……主だったアメリカ文学作品は日本語訳だった。
「諸君は英語英米文学を専攻しているのではない。原書を読まず、英語邦文学科の学生だ」と大学の先生に皮肉を言われたことがあった。
青春小説の巨匠の訃報に、今朝のコーヒーはビターな味わいだった。
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