*ガキの ガキのころ、映画や芝居の台詞を覚えるのが好きだった。「あの名台詞―」は、そんな昔を語るシリーズである。
・お富さん=3月30日記
・弁天小僧=4月4日記
・遠山桜=4月5日記
・三人吉三=4月7日記
・多羅尾伴内=4月9日記
・壷坂霊験記=4月11日記
・絶景かな=4月14日記
・瞼の母=5月9日記
と、8本書いて、ほったらかしていたが、まだまだ続けたい。第8弾の「瞼の母」以来、約2ヶ月ぶりに登場する演目は、やはり長谷川伸原作の「一本刀土俵入り」である。
親子三人、いつまでも仲良くお暮らしなさんせ。
十年前に、櫛(くし)、簪(かんざし)、巾着ぐるみ、
意見をもらった姐はんへ
せめて見てもらう駒形の
しがねぇ姿の土俵入りでござんす。
取手宿。親方に見放され食い詰めた力士、茂兵衛は酌婦のお蔦から櫛、簪、巾着までもらい世話になる。10年後、力士を断念しやくざになった茂兵衛は取手を訪ねる。お蔦の夫がいかさま博打でやくざに追われ、お蔦のもとに逃げてきていた。恩返しに茂兵衛は追っ手のやくざを引き受ける。相手のやくざの親分は草相撲で鳴らした男。長脇差を捨て相撲で勝負を挑んできたが、茂兵衛は投げ飛ばす。横綱にはなれなかったが、恩ある人に見せる、これがせめてもの土俵入りだった。
1957年(昭和32年)東宝映画で観た。駒形茂兵衛に加東大介、お蔦に越路吹雪が扮していた。監督はマキノ雅弘だった。ちなみに、加東大介の兄は沢村国太郎、姉は沢村貞子、甥は長門裕之、津川雅彦。
三波春夫が歌う「一本刀土俵入り」もよく聴いた。作詞は藤田まさと、作曲は春川一夫。1960年の作品。
♪千両万両と 積んだとて
銭に買えない 人ごころ
長い台詞が入る。
「角力になれず、やくざになって尋ねてみりゃ、この始末。さぁ、姐さん、この金もってお行きなせえまし。飛ぶにゃ今が潮時だ。あとはあっしが引き受けました」
× × ×
三波春夫の「一本刀土俵り」雪の渡り鳥/一本刀土俵入りは近くの映画館の幕間に流れていたっけ。台詞入りの歌謡曲は、聴くほうが照れくさかったが、今となると物語が浮かんできて、実にいいもんだなぁ。
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