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佐伯泰英の“居眠り磐音江戸双紙シリーズ第27弾「石榴ノ蠅」”(双葉文庫)を読む。いつもながら飽きさせず、気楽に読ませてくれる。
第1弾の「陽炎ノ辻」から数えて27冊も文庫を読んだことになる。
陽炎ノ辻/寒雷ノ坂/花芒ノ海/雪華ノ里/龍天ノ門/雨降ノ山/狐火ノ社/朔風ノ岸/遠霞ノ峠/朝虹ノ島/無月ノ橋/探梅ノ家/残花ノ庭/夏燕ノ道/驟雨ノ町/蛍火ノ宿/紅椿ノ谷/捨雛ノ川/梅雨ノ蝶/野分ノ灘/鯖雲ノ城/荒海ノ津/万両ノ雪/朧夜ノ桜/白桐ノ夢/紅花の邨/石榴ノ蠅
「居眠り磐音江戸双紙」読本にある番外編「跡継ぎ」も含めて、ほぼ完全制覇(?)している。佐伯泰英の他作品では「密命シリーズ」(祥伝社文庫)も「寒月霞斬り」から「残夢」まで11巻読んだところで、現在休止中である。
登場人物がキャラクターに富み、多彩である。内容については、これから読まれる方もいるので触れないが、主人公の坂崎磐音(後に佐々木家に養子となり佐々木姓となる)、妻となる江戸小町のおこん、磐音の許婚で花魁、白鶴になる奈緒、道場主で磐音の養父となる佐々木玲圓、両替商・今津屋の老分の由蔵、貧乏御家人の友である品川柳次郎、そして徳川10代将軍の嫡男、家基などが生き生きとドラマを展開する。
奈緒が好みだ。磐音の許婚から苦界に身を沈め、吉原では白鶴と名乗り、松の位の花魁にのぼり詰め、山形の紅花商人に落籍される。数奇な運命に翻弄されるが、ひたむきに磐音を愛す姿が健気で、実によいのだ。
毎巻のお約束のチャンバラも魅力だ。豪剣・備前包平が冴えわたる。
剣あり、恋あり、1950年代の東映時代劇を彷彿させるのだ。片岡千恵蔵、市川右太衛門、月形龍之介、大友柳太朗、中村錦之助、東千代之介、大川橋蔵らが颯爽と斬りまくっていた、あのころの時代劇である。肩の凝らない娯楽チャンバラ映画は懐かしい。
さて、今後の行方はどのような展開になるのだろうか。
史実によれば、10代将軍の家治の長男である徳川家基は18歳(満16歳)で夭逝している。幼年期から文武両道に長け、将来の名君を期待されていたが、11代将軍は家斉が一橋家から継いでいる。ちなみに、家斉は男子26人・女子27人の子女を儲けた「オットセイ将軍」として知られる。
家基はどうなるのだろか。
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