2012年2月4日土曜日

津本陽「塚原卜伝 十ニ番勝負」

*剣聖と老け役のつながりとは……。
津本陽の「塚原卜伝 十ニ番勝負」(PHP文庫)を読む。


剣聖・塚原卜伝の「卜」という字に興味を持ったのは、ガキのころだった。左卜全(ひだり・ぼくぜん)というとぼけた味のある名脇役がいた。晩年には「老人と子供のポルカ」なんて歌がヒットした。カタカナの「ト」がどうして「ぼく」と読むのか不思議だった。

漢字「卜」は、音読み「ぼく」で訓読みは「うらなう」。
デジタル大辞泉には、
1亀の甲を用いて吉凶を判断すること。一般に「うらない」。「うらなう」。
2選び定める。
とある。
 
卜伝も卜全も、同じ意味合いで名付けられたのだろう。
さしずめ卜伝はバカに腕が立つ三船敏郎あたりの役どころだが、飄々とした老け役の左卜全とは、イメージが違いすぎるのだ。

卜伝と卜全――ガキのころの疑問を、読むうちにふと思い出した。


若年にして鹿島古流の太刀を会得した塚原新右衛門は17歳で武者修行の旅に出て、剣技を磨く。生涯3度の諸国遍歴を行い、19度の真剣勝負、39度の合戦、剣士212人を倒し、無敗を貫いた。鹿島神宮に千日間の参籠し「一つの太刀」と呼ばれる一撃必殺の神技を身に付けた。新右衛門から卜伝と名を改め剣聖に至るまでの波乱万丈の死闘・名勝負十ニ番を描く。

目次
・第一番 捨て身の一撃
・第二番 海内無双の剣
・第三番 廃墟の鬼
・第四番 一拍子の太刀
・第五番 闇中の剣士
・第六番 石割りの太刀
・第七番 一つの太刀
・第八番 飯綱使い
・第九番 邪剣の主
・第十番 抜け穴の敵
・第十一番 春宵弧鷺の太刀
・第十ニ番 晩花繚乱
201221日読了

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