2011年10月18日火曜日

沼田まほかる「猫鳴り」

沼田まほかるの「猫鳴り」(双葉文庫)を読む。
 1匹の猫の一生を3部構成で描いている。
 ようやく授かった子供を流産した中年夫婦、信枝と藤治のもとに現れた生まれたばかりの捨て仔猫。信枝は何度か捨てようと試みるが、神秘的な生命力をみせる仔猫を、結局飼うハメになる。仔猫を捨てたのは変わった少女・有山アヤメで、「モン」と名付けていた。
 2部は荒んだ生活の少年・行雄の話。いつもサイバイバルナイフをポケットにしのばせ幼児を殺そうとする……。モンは近所のボス猫になっていた。
 3部は、妻の信枝に先立たれた老いた藤治が老猫モンの最期を看取る話。

×  ×  ×

 昨年2010年の2月に愛犬が亡くなった。151カ月。おつむは弱いが、愛くるしいポメラニアンだった。3部の老猫モンの最期を看取る老年の藤治の心境は、読むにつれ1年前の己と重なってきました。

 沼田まほかる――不思議な名前にまず興味をもちました。経歴では、1948年大阪府生まれ。主婦、僧侶、会社経営などを経て、50代から執筆活動を始めたそうです。
 なじみの横浜そごう「紀伊国屋書店」では、「九月が永遠に続けば」「彼女がその名を知らない鳥たち」の文庫が、「猫鳴り」と並び平積みされていました。注目の女性作家サンですね。
「猫鳴り」は、人生スチャラカでヤクザなあっしには重いストーリーでしたな。
20111015日読了

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