2011年6月26日日曜日

藤沢周平「小川の辺」

トリアタマを叩きながら再読
 人間は忘れる動物である。度忘れが高じれば認知症となる。藤沢周平さん原作の「小川の辺」が東山紀之主演で映画化された。読んだはずだが、思い出せない。「小川の辺」を読んだのは2008年。はて、どんな筋か……。短編集「闇の穴」(新潮文庫)に収められている。「小川の辺」」を再読する。

×  ×  ×

 海坂藩藩士の戌井朔之助は月番家老の助川権之丞から上意討ちの命を受けた。相手は佐久間森衛で、妹・田鶴の夫だった。佐久間は藩主・主殿頭(とのものかみ)にあてに農政改革の上書を提出したが、それが主君の自尊心を甚だしく損ねた。謹慎処分が下ったが、佐久間と田鶴は主命に背き脱藩し江戸に逃げたのだった。
 田鶴は朔之助と修業した直心流の遣い手で、気性が激しい女だった。
 戌井家の若党の新蔵が朔之助の江戸行きに同行を申し出た。田鶴は兄の朔之助の言うことは聞かぬが、幼なじみの新蔵の言うことは聞くのだった。
 朔之助は新蔵の同行を許し、江戸へ向かった。

×  ×  ×

映画キャスト
・戌井朔之助:東山紀之
・田鶴:菊地凜子
・新蔵:勝地涼
・佐久間森衛:片岡愛之助

 映画と原作はもちろん別物でしょうね。ドラマとして味付け・演出が加味されていることでしょうね。
 縦社会の封建制度では、主君の命令は絶対服従です。理不尽な命でも黙って従わなくていけません。義弟を討つ朔之助の心情も辛かろう。ストイックさが漂う東山の朔之助役はぴったりでしょうね。

 それにしても、読んでもなかなか思い出せなかった。老化現象だろうか。
「トリアタマ」。ニワトリは3歩歩くと忘れてしまうとか。度忘れのひどい人を隠語で「トリアタマ」というそうな。もしや、トリなんとか……か。
2011年6月26日再読

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