*1962年セリーグ首位打者に輝く
森永勝也(もりなが・かつや)――この名前にご記憶がありますか? ご存知の方は古い野球ファンでしょうね、きっと。※以下敬称略
× × ×
ひょんなことから彼の名を目にした。
「悪役俳優ひったくり、父は森永勝也監督」というニュースが22日に入ってきた。帰宅途中の女性からバックをひったくったとして、テレビの悪役などで出演していた俳優の森永健司容疑者が逮捕されたという。生活苦からの犯行だが、容疑者の父親が森永勝也だったのだ。
1993年に亡くなった森永勝也としては、残念なマスコミ登場だったと思う。
だが、しかし……。彼は偉大な野球人だった。これは間違いない事実であった。
なんといっても輝かしいのは、首位打者のタイトルだ。1962年(昭和37年)のことだ。広島カープの中心打者だった。
1962年のセリーグ打撃成績10傑をみてみよう。懐かしい顔ぶれが並びますぞ。
1・森永勝治(広島).307 ※入団から1962年まで「勝治」で登録
2・近藤和彦(大洋).293
3・並木輝男(阪神).290
4・江藤慎一(中日).288
5・長嶋茂雄(巨人).288
6・前田益穂(中日).284
7・坂崎一彦(巨人).276
8・中利夫(中日).275
9・王貞治(巨人).272
10・吉田義男(阪神).261
首位打者の森永が3割7厘、10位の吉田は2割6分台という驚くべき低打率だが、これは投手陣が奮闘したからだろう。ちなみにリーグ優勝は阪神。本塁打王(38)と打点(85)で王が2冠を手にしている。
続いて1962年の投手防御率成績は――。
1・村山実(阪神)1.20
2・小山正明(阪神)1.66
3・金田正一(国鉄)1.73
4・秋山登(大洋)1.92
5・稲川誠(大洋)1.98
6・藤田元司(巨人)2.03
7・柿本実(中日)2.06
8・城之内邦雄(巨人)2.21
9・中村稔(巨人)2.28
10・権藤博(中日)2.33
なんと5傑まで防御率1点台だった。ちなみに最多勝は30勝で権藤だった。
1962年は、稀に見る投高打低の年だった。金田、村山、小山、藤田、秋山、権藤といった歴史に残る名投手を相手に、森永は巧みバットコントロールでリーグ唯一3割を記録したことは、まさに特筆ものである。
山口県の柳井商工高から専修大学へ。さらに熊谷組で1957年都市対抗優勝、1958年に広島入団。中心打者として活躍、のちに巨人に移籍した。プロ野球13年の通算成績は、2割7分ちょうど。1974年には1年間広島の監督を務めている。172センチ70キロ。左投左打。外野手。
ひょんなことから名前の露出となったが、彼の偉大さは微塵も揺るがない。
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こともあろうに最初の更新で、世界の王さんの所属を「中日」としてしまいました。これはもちろん「巨人」の間違いで訂正いたします。もうひとつ中利夫さんを「俊夫」としていました。これも訂正します。粗忽でした(ペコリ)。
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