「真赤な太陽」「天城越え」「さざんかの宿」
♪まっかに燃えた 太陽だから
真夏の海は 恋の季節なの
真っ赤なドレスの美空ひばりが、ジャッキー吉川とブルーメッツを背に歌っていた。人気絶頂の『ブルコメ』井上忠夫や三原綱木を従えて、身体を揺すりながら。1967年(昭和42年)あのころ美空はまだ30歳。なのに、貫禄はどうだろう。まさに歌謡界の女王といった風情だった。
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美空の新境地を開いたヒット曲「真赤な太陽」の作詞家である吉岡治(よしおか・おさむ)が亡くなった。2010年5月17日のことだった。76歳だった。
1934年山口県生まれで東京育ち。詩人のサトウハチローに師事し、放送作家を経て作詞家になった。1965年松竹映画「悦楽」(大島渚監督)の主題歌「悦楽のブルース」(歌・島和彦)の作詞を手掛けて本格的に作詞家の道を歩んだ。以来、歌謡曲ばかりか童謡、アニメソングなど幅広く作品を世に送り出した。
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最もポピュラーなのは石川さゆり歌唱の「天城越え」だろうか。作曲は弦哲也だ。
♪隠しきれない 移り香が
いつしかあなたに 浸みついた
カラオケの定番ソングみたいだが、「くらくら燃える 火をくぐり あなたと越えたい 天城越え」とサビを歌うと、場が盛り上がるのだよね(笑)。
マリナーズのイチローの打席曲にもなった。
大川栄策の最大のヒット「さざんかの宿」もいい。
♪くもりガラスを 手で拭いて
あなた明日が みえますか
作曲は市川昭介。
瀬川瑛子にとっても吉岡治は恩人だろう。「命くれない」がある。作曲・北原じゅん。
♪生まれる前から 結ばれていた
そんな気がする 紅の糸
時々口ずさみたい曲に都はるみの「大阪しぐれ」がある。
♪ひとりで生きてくなんて できないと
泣いてすがれば ネオンがネオンがしみる
作曲は都の恩師・市川昭介である。
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実に幅が広い。野坂昭如を補作した童謡「おもちゃのチャチャチャ」(作曲・小林亜星)や「あわてんぼうのサンタクロース」、アニメ「キャプテン翼」の主題歌から、1989年日本レコード大賞の作詞賞の「好色一代女」(歌・内田あかり)まである。
最後になったが、美空の「真赤な太陽」の作曲家はシャープアンドフラッツの原信夫である。
流行歌(はやりうた)の名曲には『言霊』が宿る。言霊が宿らなければ、名曲にはなり得ない。
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