雨にまつわる連想ゲーム
ガキのころのチャンバラごっこ。
「月様、雨が……」
「春雨じゃ濡れてまいろう」
なんて、大人びてしゃべっていた。
勤皇派と佐幕派が抗争を繰り広げる京の街。祇園。傘を差し出す芸者の雛菊に月形半平太が空を見上げて吐く台詞だ。
「月形半平太」は、「国定忠治」と並ぶ新国劇の代表作品で行友李風(ゆきとも・りふう)が書いた戯曲である。1919年(大正8年)が初演というから、およそ90年前に原作は出来た。土佐勤皇党の武市半平太こと武市瑞山をモデルしている。NHK大河ドラマ「龍馬伝」では武市役は大森南朋が演じている。
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雨になると歌いたい曲がある。草球kusatama の場合はディック・ミネ⇒水原弘⇒橋幸夫となる。
名曲「或る雨の午後」はディック・ミネが歌いヒットした。戦後生まれだが、戦前のヒット曲が耳に残っている。作詞は島田磬也(きんや)、作曲は大久保徳二郎だ。
♪雨が降ってた しとしとと
或る日の午后の ことだった
続いて作詞・永六輔、作曲・中村八大の「黄昏のビギン」である。水原弘が歌い、ちあきなおみがリメークした。どちらの歌手で聴いてもいい。旋律が美しい。
♪雨に濡れてた 黄昏の街
あなたと会った 初めての夜
橋幸夫の歌で「雨の中の二人」がある。佐伯孝夫・吉田正の作詞・作曲コンビの曲が多い橋では、珍しく作詞は宮川哲夫、作曲は利根一郎。
♪雨が小粒の 真珠なら
恋はピンクの バラの花
3曲ともに雨に濡れながらも歩く恋人を歌いあげている。氷雨ではなく、冷雨でもない。濡れても心地よい柔らかい雨がモチーフになった楽曲だと思う。
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詩人で英文学者の西脇順三郎に「雨」という詩がある。
南風は柔らかい女神をもたらした
青銅をぬらし、噴水をぬらした
ツバメの羽と黄金の毛をぬらした
――以下略
苦い思い出の詩なのだ。大学入試の現代国語で、『女神』は何を指していますか、と出題され、不覚にも出来なかった。
女神は『雨』ですよね。イメージとしては南欧か、それも古都ローマあたりの雨で、濡れて心地よい雨なのだろう、ね。
そのとき感受性の欠如している己を嫌悪したものです(笑)。
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