「錆びたナイフ」で共演も
・東映:中村錦之助(のちの萬屋錦之介)・大川橋蔵
・大映:市川雷蔵・勝新太郎
・日活:石原裕次郎・小林旭
かつて1960年代の邦画黄金期、映画会社には2枚看板が存在した。
× × ×
俳優で歌手の小林旭がテイチクレコードに移籍し、新曲「遠き昭和の…」を公開録音した。テイチクといえば、日活の両雄、石原裕次郎が在籍し数々のヒット曲を生みだしたレコード会社、いわば『牙城』だ。1960年代に映画館に足を運んだ草球などには、旭の移籍は感慨深いニュースであった。
マイトガイ旭の歌を初めて聴いたのは、「ダイナマイトが150屯」だった。頭のテッペンから絞り出すような甲高い歌声には驚いた。
♪烏の野郎 どいていな
とんびの間抜けめ 気をつけろ
癪なこの世の カンシャク玉だ
作詞は関沢新一、作曲は船村徹だった。『マイトガイ』の命名は、このダイナマイトに由来する。
高音が目立つ歌唱に対して台詞は低音でしゃべる。この差異が面白い。
「ダイナマイトが150屯」はコロムビア時代に吹き込んだものだが、美空ひばりとの離婚後クラウンに移籍している。その後にポリドール、ソニーレコーズと渡り、テイチクとなったわけだが、テイチクが恐らく彼にとって最後に所属するレコード会社ではないか。
2枚看板とは、それぞれに主役を張る映画会社を代表するスターである。東映一家の長男が錦之助、大映一家が雷蔵、日活一家の裕次郎なら、さしずめそれぞれの家の次男が橋蔵、勝新、旭であった。待遇面でも嫡男と次男の差はあったと思う。
珍しい裕次郎と旭の共演作品は1958年制作の「錆びたナイフ」である。石原慎太郎の原作を、舛田利雄が監督した。旭は裕次郎の弟分を演じた。北原三枝が共演していた。杉浦直樹と裕次郎の格闘シーンが迫力あったと記憶している。
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