2009年11月14日土曜日

森繁久弥さん FOREVER

「社長」シリーズ 
 映画からテレビ、ラジオ、舞台まで。シリアスな芝居から喜劇、ミュージカルまで。主役から端役まで。果てはシンガーソンライターまでこなした戦後芸能史の大立者であり、名優の森繁久弥(もりしげ・ひさや)さんが2009年11月10日に亡くなった。96歳、老衰だった。あっぱれな大往生だった。
 偉大な足跡のほんの一部を振り返って偲びたい。
×  ×  × いつも助平心に誘われて浮気の機を窺う社長だが、肝心なときに決まって邪魔が入り浮気は失敗してしまう。森繁久弥が主演した映画「社長シリーズ」は東宝の看板で1956年(昭和31年)から1970年(昭和45年)にかけて33本も製作された。
 キャストは豪華だった。
・仕事は出来るが女に弱い社長に森繁久弥
・真面目で融通が利かない秘書に小林桂樹
・慎重な実直な総務部長に加東大介
・宴会好きな営業部長に三木のり平
・取引相手となる日系人(地方の名士なども)にフランキー堺
と芸達者が揃い、役どころをそれぞれがきっちりこなしていた。
 社長を取り巻く浮気相手の色っぽいバーのマダムや芸者には、新珠三千代、淡路恵子、草笛光子、池内淳子などが扮した。社長夫人は久慈あさみ。浮気が叶いそうな場面でバレてしまい、森繁がなんともバツの悪そうな表情となる。お決まりのシーンだが、これが絶妙であった。
 特に好きなキャラは三木のり平の“宴会部長”だった。「パーっと行きましょう。パーっと」といいながら、宴会をセッティングして仕切る。その宴会でみせる珍芸に腹を抱えて笑ったものだ。森繁も凄いが、のり平も只者ではない。
 小林桂樹の恋人(のちに妻)役は司葉子。シリーズ33本のうち23作品のメガホンを握ったのは松林宗恵だった。
×  ×  × 加東大介、三木のり平、フランキー堺、そして森繁とシリーズの常連が鬼籍に入った。日本経済の高度成長期にときを同じくして咲いた映画の華、その最後の花弁が散った想いがする。

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