2009年7月27日月曜日

あの名台詞:白浪五人男

*ガキののころ、芝居や映画の台詞を覚えるのが好きだった。「名台詞」シリーズも今回を最後として、青砥稿花紅彩画(あおとぞうし はなの にしきえ)を締めとする。すでに同芝居の浜松屋の場で、弁天小僧の台詞(4月4日記)は登場済みだが、有終の美を飾るのは稲瀬川勢揃いの場である。白浪五人男が「志らなみ」の番傘を差し名乗りをあげる。
 白浪の五人とは、首領の日本駄右衛門、弁天小僧菊之助、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸である。

・日本駄右衛門
問われて名乗るもおこがましいが、
生まれは遠州浜松在、十四の時から親に離れ、
身の生業も白波の沖を越えたる夜働き、
盗みはすれど非道はせず、人に情を掛川から
 ~中略~最早四十に人間の定めは僅か五十年、
六十余州に隠れのねぇ、
賊徒の張本日本駄右衛門

・弁天小僧菊之助 ・忠信利平
さてその次は江ノ島の
岩本院の稚児あがり 普段着慣れし振袖から、髷も島田に由比が浜 ~中略~
八幡様の氏子にて、鎌倉無宿と肩書きも
島に育ってその名せえ、弁天小僧菊之助・忠信利平
続いてあとに控えしは
月の武蔵の江戸そだち、がきの折から手癖が悪く、 ~中略~
後を隠せし判官の御名前がたりの忠信利平

・赤星十三郎
またその次につらなるは以前は武家の中小姓、故主のために斬り取りも
 ~中略~
今日ぞ命の明け方に、消ゆる間近き星月夜、
その名も赤星十三郎

・南郷力丸
さてどん尻に控えしは
磯風荒れえ小ゆるぎの、磯馴の松の曲がりなり
~中略~
覚悟はかねて鴫立つ沢、然し哀りゃあ身に知らぬ念仏嫌れえな南郷力丸

×  ×  × 次から次へと名乗りをあげるサマが面白かったなぁ。
 青砥稿花紅彩画は「浜松屋」と「稲瀬川勢揃い」の2場取りあげたが、それだけ印象が強かったのだろう。「弁天小僧の名台詞」を書いたのが、桜の盛りの4月上旬だった。2ヶ月間の中断もあったものの、なんとか“完投”に漕ぎつけた。名台詞シリーズをひとまず締めたい。
×  ×  × あの名台詞シリーズ
①お富さん=3月30日記
②弁天小僧=4月4日記
③遠山桜=4月5日記
④三人吉三=4月7日記
⑤多羅尾伴内=4月9日記
⑥壷坂霊験記=4月11日記
⑦絶景かな=4月14日記
⑧瞼の母=5月9日記
⑨一本刀土俵り=7月5日記
⑩関の弥太っぺ=7月8日記
⑪沓掛時次郎=7月11日記
⑫国定忠治=7月14日記
⑬白浪五人男=7月27日記

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