2009年1月27日火曜日

ちょいmemo:オバマ演説

Obama’s Inaugural Address

 忘却とは 忘れ去ることなり
 忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ

 脚本家・菊田一夫(1908年―1973年)の代表作「君の名は」は1952年(昭和27年)に始まったラジオドラマで、その冒頭のナレーションが「忘却とは‥‥」である。ラジオドラマが好評で、松竹で映画化された。佐田啓二と岸恵子のコンビが日本中を沸かせた。このフレーズ、忘却せずに覚えている。

 さて、これは覚えておこうなどと思っても、このところ健忘症は甚だしい。だからこその「備忘録」なのである。“ちょいとmemorandum”したいことがある。

Barack Obama was sworn in as the 44th U.S. president on Tuesday in an inaugural ceremony at Capitol Hill, becoming the first black president in U.S. history. (Jan.21)

 バラク・オバマが第44代アメリカ大統領に2009年1月20日(現地時間)就任した。その就任演説は、概ね好評で新聞各紙で全文が掲載された。この稀代の演説巧者を支えるのは、丸狩りの27歳ジョン・ファブロー、主任スピーチ・ライターである。彼の名前は抑えておこう。

 就任演説では、CHANGEやYES WE CANといったオバマ演説のキャッチコピーともなった言葉は封印し、米国の置かれている厳しい現状を語り、今後の責任や義務、あるべき姿を訴えた。後世に名言となる言葉を期待したが、あえて抑え、米国の決意表明というものに終始した。それだけに、直面する難題の多さを実感させた。就任演説は大向こう受けを狙わず、要点を的確にまとめた感じがする。

 きっと忘れるだろう。忘れるに違いないが、記しておきたい言葉2つ。
Starting today , we must pick ourselves up , dust ourselves off , and begin again the work of remaking America.
 私たちは今日から、自らを奮い立たせ、埃を払い落として、アメリカを再生する仕事を、もう一度始めなければならない。

What is required of us now is a new era of responsibility.
 今私たちに求められているのは、新たな責任の時代だ。

×  ×  ×

 以下、蛇足ながら‥‥。
 「君の名は」の映画は観た記憶がある。全3作あるが、印象に残っているのは、北原三枝が後宮春樹の佐田啓二(1926年―1964年)を馬車に乗せ、北海道の草原を走り歌うシーンである。
 ♪黒百合は 恋の花
 愛する人に 捧げれば
 二人はいつかは 結びつく
 菊田一夫の作詞で、古関裕而の作曲の「黒百合の歌」である。織井茂子が歌った。北原三枝の歌唱シーンは、織井の吹き替えだったそうだ。ちなみに佐田啓二の長男が中井貴一である。

 ♪君の名は たずねし人あり
 その人の名も知らず
「君の名は」の主題歌も、作詞・菊田一夫、作曲・古関裕而のコンビで、歌手は織井茂子であった。

※敬称略。文章中に事実誤認、赤字などありましたら、ご指摘くだされば幸いです。

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