確執の氷解
堂場瞬一の「刑事・鳴沢了シリーズ」第5弾「帰郷」(中公文庫)を読む。
確執のあった父・宗治が病死した。葬儀のため帰郷した鳴沢了のもとに、青年が訪ねて来る。彼は、15年前の殺人事件の被害者のひとり息子、鷹取正明だった。父・洋通を殺した犯人は、父の同僚、羽鳥美智雄だと訴える。事件は宗治の葬儀当日に時効を迎えていた。「捜一の鬼」といわれた宗治が唯一未解決だった事件に、了が乗り出す。
雪虫/破弾/熱欲/弧狼と、父・宗治との心の葛藤というサイドストーリーが、上記4作のテーマである事件とは別に、シリーズを彩っていたが、この「帰郷」で了の心のわだかまりが氷解し、父の自分に対する愛情を感じるまでになる。
緑川聡、大西海の新潟県警時代の先輩、後輩の刑事が、「雪虫」以来、再登場し、事件解決への手を貸す。また、愛する内藤優美と勇樹の母子にニューヨーク行きの話が持ち上がる。勇樹が全米の人気テレビドラマに出演のオファーがあり、了と母子との関係は今後どうなるのだろうか。興味津々。
鳴沢了シリーズの「かっぱえびせん」状態は続く。「やめられない、とまらない」のだ。
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