2013年3月29日金曜日

藤沢周平「天保悪党伝」

2代目松林伯円の「天保六花撰」から材をとった――。

藤沢周平の「天保悪党伝」(新潮文庫)を読む。2代目松林伯円(しょうりん・はくえん)の講談「天保六花撰」から材をとった小説。



ここは草野の友人の『トリ頭』こと戸坂健作が話したそうなので、どうせ付け焼刃の知識だろうが、聴いてやってください。

――以下『トリ頭』のひとくさり。
御数寄屋坊主の河内山(宗俊、宗春とも)も
御家人くずれの直侍(片岡直次郎)も実在モデルがいたのだ。

河内山と片岡直次郎が強請(ゆすり)たかり悪事を働き、
捕まったのが文政6年(1823年)。
河内山は獄死したが、直次郎は追放となった。
ここで改心するような直次郎はタマじゃない。
根っからの悪党はさらに恐喝で天保3年(1832年)にまた捕まった。
再犯は重い。
小塚原で処刑された。

この実話に目をつけたのが、
講談師の二代目松林伯円(しょうりん・はくえん=1834年―1905年)だ。
河内山宗俊に片岡直次郎
・辻斬りの剣客・金子市之丞
・抜け荷の大泥棒・森田屋清蔵
・元板前の暗闇の丑松
の悪党5人に吉原の花魁三千歳(みちとせ)を加え講談に仕立てた。
これが「天保六花撰」で、
明治元年(1868年)のことだ。

さらに講談を河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)が歌舞伎に移し替えた。
「天衣紛上野初花」(くもにまごううえののはつはな)だな。
河内山を9代目市川団十郎、
直侍を5代目尾上菊五郎が演じた。
芝居は大当たりだったそうだ。
今だに歌舞伎はもちろんテレビや映画でもとりあげられている。

草野は知らないだろうな。
馬鹿めっ!

×  ×  ×

 「馬鹿めっ!」というのは、歌舞伎の河内山の決め台詞だそうな。にわか知識の『トリ頭』は、言ってみたかったに違いない。1日経てばみんなケロリと忘れていることだろう。

目次
・蚊喰鳥(かくいどり)―天保六花撰ノ内・直侍
・闇のつぶて―天保六花撰ノ内・金子市
・赤い狐―天保六花撰ノ内・森田屋
・泣き虫小僧―天保六花撰ノ内・くらやみの丑松
・三千歳たそがれ―天保六花撰ノ内・三千歳
・悪党の秋―天保六花撰ノ内・河内山宗俊

2013324日読了
読書の轍#5

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