2012年2月18日土曜日

作家と万年筆展:神奈川近代文学館

弘法は筆を選ばず。そして作家は万年筆を選ぶ。
 「作家と万年筆展」(2012114日~226日)を横浜・山手、港の見える丘公園内の神奈川近代文学館で観る。 明治の文豪、夏目漱石から現在活躍中の浅田次郎や伊集院静に至るまで商売道具である愛用の万年筆と、その自筆原稿を展示している。


本展構成
・第1部:名作を生んだ万年筆たち―夏目漱石から井上ひさしまで
・第2部:手書きの魔力―現在の作家と万年筆

弘法筆を選ばず――というが、作家は万年筆を選ぶ。

――そりゃあ万年筆というのは、男が外へ出て持っている場合は、それは男の武器だからねえ。刀のようなものだからねえ……池波正太郎「男の作法」から
大小の拵(こしら)えは武士のたしなみ、いや命に匹敵するもの。そんな考えを持って、池波さんは「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」などの人気シリーズを書いたのだろうか。男らしい自由闊達な筆致の「鬼平」の自筆原稿が展示されていた。
実にのびのびした、いい筆運びなだなぁ。
ちなみに池波さんの拵えは、「国産手作り万年筆」でした。

展示のあった主な作家と万年筆
・夏目漱石:「オノト」と知られるイギリスのデ・ラ・ルー社製万年筆
・大佛次郎:モンブラン・マイスターシュテュック74
・江戸川乱歩:パイロット・RT170F53R
・井上ひさし:ペリカンM450

 私事ながら還暦の祝いで2人の娘に贈られた万年筆は、「モンブラン・マイスターシュテュック149」。分不相応な高級品である。

 ワープロソフトを用いてパソコン入力する作家が多いなか、万年筆で原稿を書く伊集院静さんが同タイプを愛用していることを初めて知った。
 伊集院さんの字は、男でも惚れそうくらいに流麗だったなぁ。

 下手くそでもいい。己らしい字を書きたい。そして筆まめになりたい。そんな気持ちにさせられる展示であった。
2012216日観覧

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