2011年5月15日日曜日

堂場瞬一「蝕罪」

酒びたりの高城賢吾は失踪課刑事
 堂場瞬一の「蝕罪」(中公文庫)を読む。「警視庁失踪課・高城賢吾シリーズ」の第1作目。

 失踪人を探す専門部署、警視庁失踪人捜査課三方面分室は渋谷中央署内にある。酒びたりの高城賢吾(たかしろ・けんご)が多摩東署から異動していきた。そこは厄介者ばかりの吹き溜まりだった。
 一緒に異動した明神愛美(みょうじん・めぐみ)は捜査一課に異動が内定していたが、不祥事のあおりで失踪課にやってきた。上昇志向の強い優秀な刑事だった。
 失踪課を仕切る室長の阿比留真弓(あびる・まゆみ)は現状にあきたらず、早く実績を上げ主流に戻りたいと願っていた。
 高城の異動初日。分室を訪れたのは、突然婚約者が行方不明になったという女性と、その婚約者の母だった。高城は愛美とコンビを組み失踪人を探すことになった……。

×  ×  ×

 堂場さんの警察小説は、
・鳴沢了シリーズ:雪虫/破弾/熱欲/孤狼/帰郷/讐雨/血烙/被匿/疑装/久遠
・真崎薫シリーズ:蒼の悔恨/蒼の懺悔
・大友鉄シリーズ:アナザーフェイス/敗者の嘘
 と読んできたが、「高城賢吾」サンは初対面ですな。家族崩壊のトラウマがもとで酒びたり(アル中に近い)生活をしている四十路の男が、失踪人を探すことで刑事の本能が目覚めてくるようです。愛娘が行方不明で、時々娘の幻影が現れる。相棒のやる気いっぱいの二十代の明神愛美とはなにかとすれ違うが、捜査を経るに連れ息が合うようになるのだよね。

 鳴沢了は靴好きで、シリーズ6作の「讐雨」では雨中の追跡で英国製の高級靴エドワード・グリーンのモンクストラップが台無しになるとの描写があった。
「蝕罪」では、雪のなかの追跡で靴が傷んだが、事件解決後に高城賢吾はこう言っていました。「俺の靴は使い捨てみたいなものだから」。
 靴に対する考え方が鳴沢と高城では随分と違う。いや実に面白い。
2011年5月14日読了

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