2011年5月31日火曜日

激情の宮沢りえ・茶々:「江」

大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」(第20回=茶々の恋)
未練を持ち続けるべきではありませぬか。
いくつか断られたくらいで、
諦めるのは、
それだけの想いしかないからでありましょう。
 茶々演じる宮沢りえが、茶々への想いを断ち切るため、その場を去ろうとする秀吉(岸谷五朗)に向って初めて本音を吐露した。振られたと勘違いしていた秀吉は驚き、茶々の恋心を知り、強く抱きしめた。四阿(あずまや)のふたりを月が照らしていた。

 茶々に拒絶されたと思った秀吉は、大坂城から京の聚楽第に住まいを移した。
 ある日、京からやってきた秀吉は茶々に公家の万里小路家との縁談を持ってくる。茶々は承知する。
 が、……。
 聚楽第に戻る前夜、四阿で遭ったふたりは互いの愛を確かめるのだった。

×  ×  ×

 親の仇として憎み、徐々にその人柄に触れ、茶々本人も知らずのうち秀吉を愛するようになる。秀吉への想いの移り変わりを宮沢りえが上手に演じておりました。

 天正15年(1587年)10月1日。九州平定と聚楽第の完成を祝い、京の北野天満宮で関白・秀吉は大茶会を催しました。北野大茶会(北野第茶湯)です。百姓、町人を問わず出席を許されました。秀吉は黄金の茶室、数々の茶道具の名品を持ちこみ、権力を誇示したのです。

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2011年5月26日木曜日

金子みすゞ展:そごう美術館

「こだまでしょうか、いいえ、誰でも」――東日本大震災以後、繰り返し放送されたACジャパンのCM。あの詩人である「没後80年 金子みすゞ展」(2011年5月14日~6月5日)を、横浜駅東口・そごう美術館(そごう横浜店6階)で観る。


 金子みすゞは、1903年(明治36年)山口県長門市仙崎の生まれで、大正末期から昭和初期にかけて26歳で世を去るまで500編余の詩を綴った。若くして西條八十に才能を認められ「若き童謡詩人の巨星」となった。23歳で結婚、一女をもうけるが、夫と不和になり、詩作を禁じられた。のちに離婚。娘を引き離そうとする夫に抗い自ら生命を絶った。
 長い間、「幻の童謡詩人」として彼女の名や作品は埋もれていたが、児童文学者の矢崎節夫氏の努力で1984年に遺稿集が出版され、再び名を知られるようになった。さらに東日本大震災でCM自粛されるなか、テレビで何度となく「こだまでしょうか」が放送され、俄然注目されている。

 本展では、少女時代の写真、遺稿が記された手帳、投稿作品が掲載された雑誌、彼女が書いたはがき、生まれた仙崎での資料、形見の着物などを、詩を読みながら、その生涯をたどる。
 また、みすゞを愛する有名人63人から寄せられたメッセージや書画、イラストなどで彼女への想いを紹介している。
・メッセージを寄せた主な有名人:池内淳子/片岡鶴太郎/里中満智子/ちばてつや/浜圭介/松たか子/やなせたかし/リリー・フランキー

×  ×  ×

 展示の最初に「私と小鳥と鈴と」という詩があった。
~みんなちがって、みんないい――。詩の内容は、私は小鳥のように飛べないが、大地を速く走ることができる。私は鈴のような音は出ないが、たくさん唄を知っている、というもので、人や小鳥や鈴はそれぞれの長所(個性)を持っていると、語っている。これは、「世界に一つだけの花」(槇原敬之作詞・作曲)を連想させましたな。
 金子みすゞ展で、人間のやさしさに触れることができました。
2011年5月24日観覧

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2011年5月24日火曜日

斎藤工・京極高次が求婚:「江」

大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」(第19回=初の縁談)
初殿を私の妻に、
お迎えしとうございます。
 京極高次演じる斎藤工が、秀吉や茶々、江を前に初(水川あさみ)に求婚した。

 大坂城内で見かけた凛々しい京極高次にひと目ぼれした初は、高次の姉・龍子(鈴木砂羽)から高次も初を憎からず思っていると聞き、恋心を募らせる。が、秀吉(岸谷五朗)の保護下にある身。自由な結婚は許されない。初は高次との縁談を、秀吉に頼んでほしいと茶々に懇願する。
 茶々は側室の誘いを受けている秀吉に初の縁談を頼む。承知したら「なにかワシにもいただけるですかな」と、秀吉は見返りを要求する。
 茶々の身を呈しての頼みで、初の婚姻が決まったのだった。

×  ×  ×

 京極高次(きょうごく・たかつぐ)は京極高吉と浅井長政の姉・マリアの長男として生まれる。父の高吉は足利義昭に仕えていたが、義昭が織田信長と対立した際に出家する。高次は織田の人質となり幼少期を過ごす。
 本能寺の変で信長が明智光秀に討たれると、高次は光秀に与す。さらに、光秀が秀吉に敗れると、今度は柴田勝家に頼る。
 二たび秀吉に逆らった高次。絶体絶命の危機となったが、姉の龍子が秀吉の側室になったことから、罪が許され、秀吉の家臣となる。九州攻めでの戦功により、近江高島郡で大溝1万石の大名に取り立てられた。
 姉の七光で出世した高次には『蛍大名』との異名がついた。

 後の関ヶ原の戦いでは最終的に家康側に与し、徳川の代でも若狭の国主となった。幸運(つき)のある人生――。

×  ×  ×

 さて秀吉を嫌っていた茶々の風向きが変わってきました。秀吉への想いがご本人の知らない間に芽生えています。若い側室といちゃつく秀吉に、なんと強烈な平手打ちをかましましたぞ(笑)。あれはジェラシーの爆発!

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2011年5月22日日曜日

江戸のファッションUKIYO・E:MOA美術館

モネもレンブラントもあった。
 熱海市のMOA美術館で「江戸のファッションUKIYO・E」(2011年3月25日~5月25日)を観る。本展では、所蔵の勝川春章の重要文化財「婦女風俗十二ヶ月図」など浮世絵コレクションを通して、江戸のファッションをたずねている。華やかな女性から当時の『粋』が漂っている。

×  ×  ×

 勝川春章の「婦女風俗十二ヶ月図」」ほか同じく重文の「湯女図」、喜多川歌麿の美人画、菱川師宣など浮世絵を堪能したほか、所蔵の常設展示も観ました。
 レンブラント・ファン・レインの「帽子をかぶった自画像」、クロード・モネの「睡蓮」も目を惹きました。
 また所蔵の尾形光琳の「紅白梅図屏風」はコピーが飾られていました。
 豊臣秀吉の造った「黄金の茶室」を資料に基づき復元されていました。

 MOA美術館は、世界救世主教の教祖・岡田茂吉(1882年―1955年)の蒐集したコレクションを中心とし、彼の生誕100年にあたる1982年(昭和57年)に熱海市桃山の地に開設されました。

 20年程前に観に来たことがあったが、当時はあまり美術(アート)に興味がなかった。あらためて観ると立派な施設、庭園とみどころいっぱいの美術館ですな。
2011年5月21日観覧

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2011年5月20日金曜日

東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」

お嬢様デカと毒舌執事が難事件を解決
 東川篤哉(ひがしがわ・とくや)の「謎解きはディナーのあとで」(小学館)を読む。2011年本屋大賞のベストセラー。

 宝生麗子(ほうしょう・れいこ)は国立署の新米刑事にして、金融とエレクトロニクスと医療品とミステリー出版物などで世界にその名を轟かせる「宝生グループ」の総帥、宝生清太郎のひとり娘。上司の風祭(かざまつり)警部は最高のデザインと最低の燃費を武器にした時代遅れのスポーツカーで内外にその名を馳せる自動車メーカー「風祭モータース」の御曹司である。そして、もうひとり。宝生家の執事兼運転手の影山が主要登場人物。
 怪事件、難事件に直面し困った麗子が執事の影山に経過や詳細を相談すると、「失礼ながらお嬢様――この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか」などと毒舌を吐き、影山が聴いただけでたちどころに事件の謎を解き、犯人を突きとめてしまう。

目次
・第一話:殺人現場では靴をお脱ぎください
・第二話:殺しのワインはいかがでしょう
・第三話:綺麗な薔薇には殺意がございます
・第四話:花嫁は密室の中でございます
・第五話:二股にはお気をつけください
・第六話:死者からの伝言をどうぞ

 第二話の「殺しのワイン―」からニヤリとさせられた文章の一部を抜粋――
「性悪女だわ! あたなは若林家の財産を掠(かす)め取ろうとする泥棒猫よ! どこの馬の骨かも判らない野良犬のくせに、図々しい!」
 様々な動物に見立てて家政婦を罵る春絵。しかし、猫、馬、犬、とくれば最後はやっぱりアレか――一同の期待が高まる中、春絵はさらに目尻を吊りあげながら、藤代雅美に最大級の罵声を浴びせかけた。
「いままで誰のおかげで生きてこられたと思ってんのよ、この恩知らずの雌豚めッ!」

×  ×  ×

 お嬢様の麗子と御曹司の風祭警部の掛け合いもクスリニヤリの連続ですぞ。令嬢デカと毒舌執事が謎を解くお笑いミステリー。イージーリーディングに最適ですな。
2011年5月20日読了

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2011年5月19日木曜日

ミムラ・細川ガラシャ改宗:「江」

大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」(第18回=恋しくて)
はい。ガラシャと申します。
 細川たま(ミムラ)は江(上野樹里)にキリスト教に改宗したことを告げ、洗礼名を名乗った。

 明智光秀の娘たまは細川忠興のもとに嫁ぎ、平穏な日々を送っていたが、天正10年(1582年)6月の「本能寺の変」が彼女の人生を狂わせた。「謀反人の娘」となった。たまを愛していた夫の忠興は丹後に幽閉する。
 天正12年、幽閉は秀吉の取りなしで解かれ、たまは大坂の細川屋敷に戻る。
 だが、寂しい日々を送ったたまはキリスト教入信に傾く。
 天正14年、帝を補佐する太政大臣に就いた秀吉は政権を確立した。天下統一を図り九州攻めを決める。天正15年、島津にてこずるが、ついに九州を制圧する。九州でのキリシタンの勢いを脅威に感じた秀吉はキリシタン禁止令を発した。
 そんな状況にも、たまは改宗し洗礼を受けた。クリスチャンネームはガラシャだった。

×  ×  ×

 戦国美人といえば、市やガラシャの名が浮かびます。ミムラさんも美しいが、ガラシャも佳人の誉れが高かったようですな。
 ガラシャは壮絶な最期を遂げます。関ヶ原の戦いで夫の忠興が徳川側に与し上杉討伐に遠征したすきをつき、石田三成は大坂の細川屋敷に兵を出します。死を覚悟したガラシャは、家老の小笠原秀清に部屋の外から槍で胸を突かせたのです。

 初(水川あさみ)は、後に夫となる京極高次(斎藤工)にひと目ぼれしました。大坂城内で見かけます。「なんとも涼やかで、りりしゅうて……」と江を連れて、イケメンを探すシーンがありました。
 秀吉(岸谷五朗)は茶々(宮沢りえ)を押しの一手で攻めています。そろそろ陥落するのでしょうか。

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2011年5月15日日曜日

堂場瞬一「蝕罪」

酒びたりの高城賢吾は失踪課刑事
 堂場瞬一の「蝕罪」(中公文庫)を読む。「警視庁失踪課・高城賢吾シリーズ」の第1作目。

 失踪人を探す専門部署、警視庁失踪人捜査課三方面分室は渋谷中央署内にある。酒びたりの高城賢吾(たかしろ・けんご)が多摩東署から異動していきた。そこは厄介者ばかりの吹き溜まりだった。
 一緒に異動した明神愛美(みょうじん・めぐみ)は捜査一課に異動が内定していたが、不祥事のあおりで失踪課にやってきた。上昇志向の強い優秀な刑事だった。
 失踪課を仕切る室長の阿比留真弓(あびる・まゆみ)は現状にあきたらず、早く実績を上げ主流に戻りたいと願っていた。
 高城の異動初日。分室を訪れたのは、突然婚約者が行方不明になったという女性と、その婚約者の母だった。高城は愛美とコンビを組み失踪人を探すことになった……。

×  ×  ×

 堂場さんの警察小説は、
・鳴沢了シリーズ:雪虫/破弾/熱欲/孤狼/帰郷/讐雨/血烙/被匿/疑装/久遠
・真崎薫シリーズ:蒼の悔恨/蒼の懺悔
・大友鉄シリーズ:アナザーフェイス/敗者の嘘
 と読んできたが、「高城賢吾」サンは初対面ですな。家族崩壊のトラウマがもとで酒びたり(アル中に近い)生活をしている四十路の男が、失踪人を探すことで刑事の本能が目覚めてくるようです。愛娘が行方不明で、時々娘の幻影が現れる。相棒のやる気いっぱいの二十代の明神愛美とはなにかとすれ違うが、捜査を経るに連れ息が合うようになるのだよね。

 鳴沢了は靴好きで、シリーズ6作の「讐雨」では雨中の追跡で英国製の高級靴エドワード・グリーンのモンクストラップが台無しになるとの描写があった。
「蝕罪」では、雪のなかの追跡で靴が傷んだが、事件解決後に高城賢吾はこう言っていました。「俺の靴は使い捨てみたいなものだから」。
 靴に対する考え方が鳴沢と高城では随分と違う。いや実に面白い。
2011年5月14日読了

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2011年5月10日火曜日

北大路欣也・家康、上洛:「江」

大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」(第17回=家康の花嫁)
どうやらワシの負けのようじゃ、
うふうふ、わっはっはっは……。
 北大路欣也演じる徳川家康は虚空を見つめ高笑いした。

 天正13年(1585年)7月、秀吉(岸谷五朗)は関白宣下を受けた。天下人への道をのぼった。が、秀吉に上洛を促されても、家康は関白就任への挨拶に現れなかった。
「おのれの大事なものを差し出してこそ、相手も考えよう」という江(上野樹里)の言葉に妙案を思い付いた秀吉は、妹・旭を家康に嫁がせる。しかし、旭を妻に迎えた家康はまたしても上洛を拒む。ついに秀吉は母の大政所を人質に差し向ける。
 秀吉の執拗な懐柔策に、家康も「負けじゃ」と笑うしかなかった。

 上洛した家康は秀吉の前で「忠義の限りを尽くす」と頭を下げた。東の雄・家康が折れたことで、秀吉VS家康の緊張関係は収まるのだった。

×  ×  ×

 江の2度目の夫となる羽柴秀勝(AKIRA)が登場しました。秀勝は秀吉の姉・ともの次男(小吉)。信長の四男で秀吉の養子となった秀勝が18歳で夭逝したため、そのあとを小吉が継ぎ、名を秀勝と改めたのです。秀吉は秀勝を茶々ら三姉妹に紹介しています。
 改称といえばもう一人。この天正13年、茶頭の千宗易が利休と改めました。宮中で前例のない茶会を秀吉が開きますが、町人身分のままでは参内できないため、正親町天皇から居士号の利休を賜ったのです。
 茶々(宮沢りえ)がかなり秀吉になびいてまいりましたぞ。

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リサとガスパール&ぺネロぺ展:そごう美術館

絵本をみれば大人だって心が和む。
 横浜駅東口・そごう美術館(そごう横浜店6F)で「リサとガスパール&ぺネロぺ展」(2011年4月2日~5月8日)を観る。

 ところで、「リサとガスパール」を知っていますか? 通称「リサガス」。
 フランスの絵本シリーズ名で、登場人物のキャラクターです。イヌでもなくウサギでもない世にも珍しい動物なのです。リサは赤いマフラーをした女の子。ガスパールは青いマフラーの男の子。二人を中心した家族の日常が描かれています。子どもたちの好奇心や自立心をあたたかく見つめています。
 フランスでは1999年、日本では2000年に刊行され人気となっています。
 作者は、文:アン・グットマン、絵:ゲオルグ・ハレンスレーベンの夫妻です。
 また、「ぺネロぺ」は青いコアラの女の子で、アンとグオルグ夫妻の別の人気絵本シリーズです。
 本展では原画160点のほかスケッチや仕掛け絵本のための習作を展示していました。

 開催最終日に観ましたが、お子さん連れのママさんがいっぱい、盛況でした。
2011年5月8日観覧

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2011年5月5日木曜日

伊坂幸太郎「グラスホッパー」

伊坂幸太郎の「グラスホッパー」(角川文庫)を読む。


















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妻を殺した男に復讐しようと、教師を辞職し「鈴木」は男の父親の経営する怪しげな会社「フロイライン」に勤める。が、目の前で男が車に轢き殺された。「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業だった。「押し屋」を追う「鈴木」。
「押し屋」は「槿」(あさがお)といい、温かい家庭を持っていた。

一方、自殺専門の殺し屋・「鯨」は自殺させた亡霊から過去を清算するため、ナイフ使いの若い殺し屋・「蝉」は手柄をたてるため、「押し屋」を探していた。

ズルズルと読み終えていましました。伏線やら比喩的表現やら、作品の深みを十分に味わえませんでした。伊坂さん、ゴメン。
2011年5月2日読了

2011年5月3日火曜日

気位高い和泉元彌・足利義昭:「江」

大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」(第16回=関白秀吉)
秀吉めをわしの養子にじゃと……、
百姓の分際で……。
 和泉元彌演じる足利義昭が怒りを露わにした。

 天正13年(1585年)初夏。秀吉(岸谷五朗)は、母・なか(奈良岡朋子)、正室・おね(大竹しのぶ)、三姉妹の前で、茶々(宮沢りえ)への執心のため、将軍になることを宣言する。周囲の嘲笑を買うが、諦めない。
 信頼する弟の秀長(袴田吉彦)を足利義昭の元に遣わし猶子の縁組を頼むが、征夷大将軍の座にあり気位の高い義昭は即座に拒み、激怒した。
 めげない秀吉は将軍より上位の関白太政大臣を目指す。五摂家筆頭の近衛家に接近し、金銀を惜しまず近衛家の養子となり、関白の座への足がかりを掴んだ。

×  ×  ×

 足利義昭は室町幕府最後の将軍。信長に擁されて上洛し、将軍になるが、やがて信長の専横さに反発し対立、武田信玄や朝倉義景らに与したが、信長に敗れ、京を追われる。この時点で室町幕府は滅びたとされるが、彼は依然として将軍職にあった。天正14年に秀吉が関白となり、義昭は2年後の天正16年に将軍の座を辞し、その後秀吉の臣下として1万石の大名となり余生を送った。

×  ×  ×

 足利義昭を演じている和泉元彌が狂言師で俳優であることは、周知の事実です。かつてはNHK大河ドラマ「北条時宗」(2001年)で主演されていますが、その後の活躍はパッとしませんね。和泉流宗家の継承騒動、離婚騒動、ダブルブッキング問題や駐車違反などお騒がせ続きです。最近ではプロレスに参戦し「空中元彌チョップ」なる秘技を披露しているとか。
「江」の義昭役の元彌は、すでに権力はなく名ばかりの将軍職にしがみつく様を熱演していますよ。

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2011年5月1日日曜日

与勇輝展:横浜高島屋

生き生きした造形は昭和を表現
 人形に昭和の郷愁が息づいていた。横浜西口の高島屋8階ギャラリーで開催している「昭和・メモリアル 与勇輝展」(2011年4月20日~5月9日)を観る。懐かしい昭和を題材として造形した57点、代表作を加え100余点を展示している。与勇輝(あたえ・ゆうき)さんは1937年(昭和12年)生まれの人形作家。
 本展で最初に目にするのが「和枝ちゃん」という人形だ。横浜・磯子の魚屋さんの歌の上手な女の子。おでこが特徴か。あの昭和戦後史に欠かせない存在、国民的歌手・美空ひばりさんになる前の幼少期を造形した人形だ。
 昭和天皇、マッカーサーも登場し、その面ざしは似ている。
 少年が妹と思しき少女をいつくしみ抱くようにした人形が2,3点あった。どこか野坂昭如さんの「火垂るの墓」を連想させ、感傷的にさせられる。
「召集令状」という作品。袴の祖父、ヘルメットで敬礼する弟、その横で学生帽の兄、「召集令状が届き出征する夫、そして妻は横に並んでいる。お国のためと気丈にふるまう家族だが、心の中は複雑……。

 与さんは8歳で終戦を迎えた。空襲により焼け野原となった街の情景や、戦後間もない食糧難や貧しい時代の記憶に残る様を人形に託したのだろうか。

×  ×  ×

 実は4月21日(木)に一度のぞいたのだが、超満員で観るのをやめた。今回は2度目のトライアル。11時前に入場したが、大盛況でしたぞ。
 昆虫採集の子どもたちの人形――少年がバッタを手に掴んでいた――の前。
 ご高齢な女性の会話が聴こえてきた。
「バッタでしょう、あの手にあるの」
「イナゴよ、あれってよく食べたわよ」
 昭和22年、戦後生まれで鯨を食べ、脱脂粉乳の給食を経験しているが、さらに上の世代の食糧難はいかばかりか(笑)。
2011年4月30日観覧

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