2009年7月30日木曜日

二谷英明がCMに登場

特捜最前線のシーン
 妙に気になることがある。
 家庭教師のトライのテレビCMだ。若い時分の二谷英明が登場している。ドラマ「特捜最前線」~特捜最前線 BEST SELECTION BOX VOL.8 [DVD]のシーン。犯人を追い詰め、説得しているのだろうか。トランシーバーを持つ二谷。後ろに大滝秀治が控える。そして二谷が話す。
 「夏休みだけ家庭教師をつけたいですか」
 「しかも地元のトップ高出身の理数系が得意な女性の家庭教師をお願いします」
 もちろん台詞は吹き替え。緊迫な場面に、トライのコマーシャルが流れ、思わず苦笑いさせられる。
 特捜最前線はテレビ朝日で1977年から10年間放送され、根強い人気があった刑事ドラマで、二谷英明は主演の特命課長、神代恭介役を演じていた。

 なぜ二谷英明の起用なのか。

 会社情報を見て分かった。家庭教師のトライを筆頭とするトライグループは、個別指導教室に人材派遣業と事業展開している。全国に36ヶ所の支店・支社を持ち、従業員数は450名、運営スタッフ1,000名。教師登録数48万人(全国累計)、生徒数82万人(2007年10月)とあり、その代表取締役社長は二谷友里恵だった。
 そうだ! 友里恵のお父さんは二谷英明だった。郷ひろみと離婚後、トライ創業者と再婚していた。
 というわけで、CMから出た疑問が、妙にナットクして氷解したのである。

 えっ、そんなこととっくに知っていた? 
 お呼びでない。こりゃまた失礼しました。

2009年7月29日水曜日

ちょいmemo:浪or波

 白浪五人男と白波五人男、「浪」と「波」両方の表記があります。
デジタル大辞泉をみると、『「後漢書」霊帝紀から。黄巾の乱の残党で、略奪をはたらいた白波賊(はくはぞく)を訓読みしたもの。盗賊。どろぼう』とあります。黄河上流の白波谷(はくはこく)という場所を根城にしていたので、この賊を白波賊と呼んだそうです。語源からは「白波」となりますが、歌舞伎での表記「白浪」があり、2通りになったものです。現在では「白浪」を、より多く見聞するような気がします。

2009年7月27日月曜日

あの名台詞:白浪五人男

*ガキののころ、芝居や映画の台詞を覚えるのが好きだった。「名台詞」シリーズも今回を最後として、青砥稿花紅彩画(あおとぞうし はなの にしきえ)を締めとする。すでに同芝居の浜松屋の場で、弁天小僧の台詞(4月4日記)は登場済みだが、有終の美を飾るのは稲瀬川勢揃いの場である。白浪五人男が「志らなみ」の番傘を差し名乗りをあげる。
 白浪の五人とは、首領の日本駄右衛門、弁天小僧菊之助、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸である。

・日本駄右衛門
問われて名乗るもおこがましいが、
生まれは遠州浜松在、十四の時から親に離れ、
身の生業も白波の沖を越えたる夜働き、
盗みはすれど非道はせず、人に情を掛川から
 ~中略~最早四十に人間の定めは僅か五十年、
六十余州に隠れのねぇ、
賊徒の張本日本駄右衛門

・弁天小僧菊之助 ・忠信利平
さてその次は江ノ島の
岩本院の稚児あがり 普段着慣れし振袖から、髷も島田に由比が浜 ~中略~
八幡様の氏子にて、鎌倉無宿と肩書きも
島に育ってその名せえ、弁天小僧菊之助・忠信利平
続いてあとに控えしは
月の武蔵の江戸そだち、がきの折から手癖が悪く、 ~中略~
後を隠せし判官の御名前がたりの忠信利平

・赤星十三郎
またその次につらなるは以前は武家の中小姓、故主のために斬り取りも
 ~中略~
今日ぞ命の明け方に、消ゆる間近き星月夜、
その名も赤星十三郎

・南郷力丸
さてどん尻に控えしは
磯風荒れえ小ゆるぎの、磯馴の松の曲がりなり
~中略~
覚悟はかねて鴫立つ沢、然し哀りゃあ身に知らぬ念仏嫌れえな南郷力丸

×  ×  × 次から次へと名乗りをあげるサマが面白かったなぁ。
 青砥稿花紅彩画は「浜松屋」と「稲瀬川勢揃い」の2場取りあげたが、それだけ印象が強かったのだろう。「弁天小僧の名台詞」を書いたのが、桜の盛りの4月上旬だった。2ヶ月間の中断もあったものの、なんとか“完投”に漕ぎつけた。名台詞シリーズをひとまず締めたい。
×  ×  × あの名台詞シリーズ
①お富さん=3月30日記
②弁天小僧=4月4日記
③遠山桜=4月5日記
④三人吉三=4月7日記
⑤多羅尾伴内=4月9日記
⑥壷坂霊験記=4月11日記
⑦絶景かな=4月14日記
⑧瞼の母=5月9日記
⑨一本刀土俵り=7月5日記
⑩関の弥太っぺ=7月8日記
⑪沓掛時次郎=7月11日記
⑫国定忠治=7月14日記
⑬白浪五人男=7月27日記

2009年7月25日土曜日

泣けた「犬と10の約束」

命短かし愛せよ‥
 犬と私の10の約束[プレミアム・エディション](2枚組) [DVD]をたまたま観る。そこにDVDがあり、暇な時間があり、観たわけですが、いや参りましたな。アラ還オヤジが涙々でした。人に見せられザマではありませんや。

 ♪泣けた 泣けた
  こらえ切れずに 泣けたっけ
 春日八郎の歌唱で大ヒットした、あの「別れの一本杉」状態です。作詞は26歳の若さで帰らぬ人となった高野公男でした。作曲は高野の刎頚の友、船村徹友よ~高野公男を歌う~です。1955年(昭和30年)の作品でした。
 恋人を故郷に置いて上京した男が、あの日の別れを思い出します。あれは、村はずれの一本杉でした。カケスが鳴いていました。あれから‥‥。嫁にも行かないで、男の帰りを待っている娘は、とうに二十歳は過ぎています。今の晩婚時代と違い、当時の女性の適齢期は二十歳そこそこだと推測します。東京で一旗上げられない男もつらい。縁談をやいのやいのと催促される娘もつらい。なんちゃって、昔話に脱線しましたが、時計の針を昭和から平成に50年ほど戻しましょう。

 さて「犬と私の10の約束」です。
 14歳のあかりは医者の父と優しい母と暮らしていた。突然、母が病気で倒れる。忙しい父、ひとり家で寂しいあかりの元に、ゴールデンリトリバーの子犬が迷い込む。犬嫌いの父を説得し、犬を飼うことに。犬はソックスと名付けられた。母はあかりに犬を飼うときは「10の約束」をしなけばならないと教える。それは、犬の立場から人間への10のお願いであった‥‥。
・あなたには学校もあるし、友だちもいます。でも私にはあなたしかいません。
・私は10年くらいしか生きられません。だからできるだけ一緒にいてください。
・私が死ぬとき、お願いです。そばにいてください、覚えていてください。私がずっとあなたを愛していたことを。

 監督は本木克英。あかりに田中麗奈(福田麻由子)、父親に豊川悦司、母親に高島礼子、初恋の人で結婚する相手に加瀬亮のキャストとなっています。
 子供時代のあかりを演じた福田麻由子に将来の輝きを感じました。

 犬の寿命は大型犬で10歳程度、小型犬で12歳~14歳といわれています。犬を飼うということは、飼主が臨終を見届けることになります。
 ♪命短し 恋せよ乙女
  紅き唇 あせぬ間に
 「ゴンドラの唄」ですな。作詞は吉井勇、作曲は中山晋平ですよ。1915年(大正4年)に発表された名曲ですな。森繁久弥が歌っていたのを聴いたことがあります。
 お~ッとまたまた古い話で恐縮です。
 草野球音の家にも14歳6ヶ月のポメラニアンがいます。老犬です。近頃は、白内障でモノが見えていないようです。耳も老人性難聴(耳が遠い)気味です。老いは誰にもやってきます。飼い犬をダブらせながら、観ていると、涙が恥ずかしいほど出てきたのでした。

2009年7月14日火曜日

あの名台詞:国定忠治

*赤城の山に名月が傾きかけ、雁が鳴いて西の空に飛んで行く。役人に追われ、国定忠治は赤城山を降りる決心を子分たちに告げるシーンである。

赤城の山も今夜限り、生まれ故郷の国定村や、
縄張りを捨て、国を捨て、
可愛い子分のてめえたちとも別れ別れになるかどで(首途)だ。

心の向くまま、足の向くまま、
あても果てしもねえ旅に立つんだ。

加賀国の住人、小松五郎義兼が鍛えた業物。
万年溜めの雪水に淨めて、
俺にゃあ、生涯てめえという強い味方があったのだ。

あの名台詞シリーズ第12弾は、三尺物の名作のひとつ「国定忠治」。芝居や浪曲、講談でお馴染みだが、草野球音が推すのは三船敏郎の映画だ。1960年(昭和35年)の東宝作品。監督は谷口千吉だった。
 天保7年、国定村は凶作に喘いでいた。幕府は苛政をもってのぞんでいた。故郷に戻った国定忠治は立ち上がる。代官所に斬り込む。
 国定忠治に三船敏郎。子分の日光の円蔵に加東大介、頑鉄に藤木悠。板割の浅太郎に夏木陽介が扮した。浅太郎の叔父にあたる目明し、勘助には東野英治郎。その幼子の勘太郎には、中村勘九郎だった。後の中村勘三郎である。当時の勘九郎をオンブして赤城山を三船の忠治が降りた。50年近く昔の話だが、今となっては世界の三船と十八代目勘三郎という“お値打ちモノ”のキャストだったなぁ。

 1958年の東映作品は、片岡千恵蔵の国定忠治だった。板割の浅太郎に里見浩太郎、勘介役は月形龍之介だった。監督は小沢茂弘。これもなかなかの配役だった。

 東海林太郎が歌った「名月赤城山」も忘られない。戦前の1934年の作品で、大ヒットした。作詞は矢島寵児、作曲は菊池博。
 ♪男ごころに 男が惚れて
  意気が解け合う 赤城山
  澄んだ夜空の まんまる月の
  浮世横笛 誰が吹く
 「赤城の山も今夜限り」の国定忠治を歌っている。

×  ×  ×
 「赤城の山も今夜限り」の名台詞は、行友李風(ゆきとも・りふう=1877年―1959年)の作で、新国劇の座付き作者として「国定忠治」~新国劇 極付 国定忠治 [DVD]「月形半平太」の作品を書いた。国定忠治はそれ以前にも浪曲や講談で語られていたが、この台詞が沢田正二郎演出で極め付きとなった。また、「月形半平太」の「月様、雨が‥‥」「春雨じゃ、濡れて行こう」という名台詞となっている。

2009年7月12日日曜日

ちょいmemo:三 尺 物

股旅物の別称
 「瞼の母」「一本刀土俵入り」「関の弥太っぺ」「沓掛時次郎」などの、各地を旅する博徒、侠客を主人公とし、義理人情の世界を描いた芝居・映画・小説を股旅物という。昭和初期から使われるようになった語。また、三尺物ともいう。
 長谷川伸は股旅物、三尺物の“本家”といっていい御仁である。

 三尺という長さは、「かね尺で約91センチ、鯨尺で約114センチ」。侠客は三尺帯を締めていた。通常は二重か三重に巻く帯だが、侠客は短い三尺帯(約1メートル)を一重に巻き体の前で結んでいたという。後ろから帯を掴まれても簡単に解け、逃げられる。用心からの生まれた風俗だった。というわけで、三尺帯を着用していた侠客が主人公となる芝居・講談・浪曲などの演目を、「三尺物」というようになった――豆知識でした。

×  ×  ×
 あの名台詞シリーズ
①お富さん=3月30日記
②弁天小僧=4月4日記
③遠山桜=4月5日記
④三人吉三=4月7日記
⑤多羅尾伴内=4月9日記
⑥壷坂霊験記=4月11日記
⑦絶景かな=4月14日記
⑧瞼の母=5月9日記
⑨一本刀土俵り=7月5日記
⑩関の弥太っぺ=7月8日記
⑪沓掛時次郎=7月11日記

2009年7月11日土曜日

あの名台詞:沓掛時次郎

*ガキのころ、映画や芝居の台詞を覚えるのが好きだった。長谷川伸シリーズの今回は、「沓掛時次郎」である。

あっしは旅人でござんす。
一宿一飯の恩があるので、
怨みもつらみもねぇお前さんに敵対する、
信州沓掛の時次郎というくだらねぇ者でござんす。

左様でござんすか。
手前もしがねぇ者でござんす。
ご丁寧なお言葉で、お心のうちはくみとりまするでござんす。

信州沓掛生まれの時次郎は、親分なし子分なし一本独鈷の旅烏。一宿一飯の恩義から、なんの怨みもない六ツ田の三蔵を長脇差のやりとりをする破目になり斬ってしまう。息を引き取る間際、三蔵は女房おきぬと倅の太郎吉を、おきぬの在所に送り届けることを託される。亭主の敵と旅をするおきぬは時次郎を憎んでいたが、月日の流れと時次郎の誠に心を開き、いつしか愛するように‥‥。

 名台詞は沓掛時次郎と六ツ田三蔵が、白刃を交える前の口上である。

 1961年(昭和36年)大映で、市川雷蔵が沓掛時次郎 [DVD]を、おきぬに新珠三千代で映画化されている。監督は池広一夫だった。主題歌は橋幸夫が歌った。作詞は佐伯孝夫、作曲は吉田正。
 ♪女知らずが 女の世話を
  その上 坊やの手をひけば

 1966年には東映沓掛時次郎 遊侠一匹 [DVD]で、中村錦之助の時次郎と池内淳子のおきぬのコンビで、加藤泰監督で撮っている。このときの六ツ田の三蔵は東千代之介だった。

 戦前にも大河内伝次郎、林長二郎(後の長谷川一夫)が時次郎役を映画で演じている。1928年(昭和3年)に発表された長谷川伸の戯曲だが、当代きっての時代劇俳優が演じるほどに魅力的な役柄だった。


 そういえば、超人気テレビ番組「てなもんや三度笠」(1962年~1968年朝日放送)で藤田まことが扮した「あんかけの時次郎」は、本家の沓掛時次郎のパロディであった。
 「泉州は信太の生まれ。あんかけの時次郎。義理にゃ強いが人情にゃ弱い。男の中の男一匹‥‥」と、番組の最初に口上を述べ寸劇があり、「オレがこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」とコマーシャルに繋げていたっけ。

2009年7月10日金曜日

クレオパトラが愛した都

海のエジプト展

 横浜・みなとみらいのパシフィコ横浜で開催中の「海のエジプト展~海底からよみがえる、古代都市アレキサンドリアの至宝~」(6月27日~9月23日)を観る。
 「海のエジプト展」は地中海に面した街の海底から発掘された遺物を紹介し、紀元前700年から後800年の古代エジプトの末期王朝から「プトレマイオス朝」、「ギリシャ」「ローマ」時代へと繋がる1500年の歴史を辿っている。
 「カノープス」「ヘラクレイオン」「アレキサンドリア」という3つの古代都市ごとに発掘された遺物490点余りを展示している。
・聖なる癒しの都カノープスCanopus
・神々とファラオが出会う都ヘラクレイオンHeracleion
・クレオパトラが愛した都アレキサンドリアAlexandria
 高さ5メートルを超えるファラオの石像やヒエログリフ(神聖文字)がはっきり読み取れるネクタネボ1世のステラ(石碑)も素晴らしかったが、クレオパトラの宮殿があったアレキサンドリアに馴染みがあり、興味を惹かれた。
 アレキサンドリアは、アレキサンダー(アレキサンドロス)大王がプトレマイオス朝の都を置いた場所で、現在でもカイロに次ぐエジプト第2の都市。プトレマイオス朝最後の王が絶世の美女を謳われたクレオパトラ7世で、カエサル(シーザー)との息子を表したといわれるカエサリオン像の頭部が展示されていた。
 紀元前31年、クレオパトラ・アントニウス連合軍はオクタヴィアヌスのローマ軍と戦い、敗れる。クレオパトラはオクタヴィアヌスに屈することを拒み、毒蛇コブラに乳房を噛ませ自殺したと伝えられている。エジプトを征服したオクタヴィアヌスは、「カエサルの後継者」となる虞(おそれ)があるカエサリオンを殺害した。ここにプトレマイオス朝は終焉を迎えた。
×  ×  ×
 「阿修羅展」の教訓から超混雑を避けようと、開門(9時30分)前に到着したが、比較的快適に閲覧できた。学生が夏休みに入る前、今が観る絶好機だと思う。
2009年7月9日観覧

2009年7月8日水曜日

名台詞:関の弥太っぺ

*ガキのころ、映画や芝居の台詞を覚えるのが好きだった。「瞼の母」「一本刀土俵入り」のあとは、「関の弥太っぺ」とする。長谷川伸戯曲シリーズである。

この娑婆には辛い事、
悲しい事がたくさんある。
忘れるこった。
忘れて明日になれば・・・。
(空を見上げて)ああ、明日は晴れだなぁ。

1963年(昭和38年)の東映作品、中村錦之助(後の萬屋錦之介)の「関の弥太っぺ」を観た。錦之助のオーラが映画館を包んでいた。瞳がキラキラ輝いていた。それほどに勢いのある芝居だった。監督は山下耕作で、日本映画の傑作といわれる。

 生き別れた妹を探す旅人、関本の弥太郎、通称「関の弥太っぺ」は、川にはまった少女お小夜を助ける。お小夜は父親和吉と旅をしていた。その和吉が金の諍いから箱田の森介に斬られる。いまわの際に和吉からお小夜を宿場の旅籠、沢井屋に送り届けることを頼まれる弥太郎。父親の死を知らないお小夜に、語りかける弥太郎の台詞が、「この娑婆には辛い事―」である。
 お小夜を無事送り届けた弥太郎は、名も告げず旅立つ。
 探していた妹は死んだことを知った弥太郎は生きる目的を失う。
 それから10年。弥太郎の風貌は一変していた。助っ人稼業に心は荒んでいた。出入りで出会った旧知の田毎の才兵衛から、お小夜とその家族が恩人である旅人を探していると聞く。
 10年ぶりに再会する弥太郎とお小夜。だが、お小夜は弥太郎に気づかない。別れ際、「この娑婆には辛い事―」とあの台詞が再び弥太郎から語られる。すべてを悟ったお小夜は弥太郎のあとを追う――。
 名台詞が物語のキーワードになっているのだ。

 お小夜に十朱幸代、箱田の森介に木村功、田毎の才兵衛に月形龍之介、堺の和吉に大坂志郎が扮した。男の身勝手さを演じた木村功の演技が絶妙だったと、記憶している。

×  ×  ×
 ちなみに1959年大映で長谷川一夫も「関の弥太ッペ」を演じている。箱田の森介に勝新太郎、お小夜は中村玉緒だった。この映画は残念ながら、観ていない。

2009年7月5日日曜日

名台詞:一本刀土俵入り

*ガキの ガキのころ、映画や芝居の台詞を覚えるのが好きだった。「あの名台詞―」は、そんな昔を語るシリーズである。
・お富さん=3月30日記
・弁天小僧=4月4日記
・遠山桜=4月5日記
・三人吉三=4月7日記
・多羅尾伴内=4月9日記
・壷坂霊験記=4月11日記
・絶景かな=4月14日記
・瞼の母=5月9日記
と、8本書いて、ほったらかしていたが、まだまだ続けたい。第8弾の「瞼の母」以来、約2ヶ月ぶりに登場する演目は、やはり長谷川伸原作の「一本刀土俵入り」である。

親子三人、いつまでも仲良くお暮らしなさんせ。
十年前に、櫛(くし)、簪(かんざし)、巾着ぐるみ、
意見をもらった姐はんへ
せめて見てもらう駒形の
しがねぇ姿の土俵入りでござんす。

 取手宿。親方に見放され食い詰めた力士、茂兵衛は酌婦のお蔦から櫛、簪、巾着までもらい世話になる。10年後、力士を断念しやくざになった茂兵衛は取手を訪ねる。お蔦の夫がいかさま博打でやくざに追われ、お蔦のもとに逃げてきていた。恩返しに茂兵衛は追っ手のやくざを引き受ける。相手のやくざの親分は草相撲で鳴らした男。長脇差を捨て相撲で勝負を挑んできたが、茂兵衛は投げ飛ばす。横綱にはなれなかったが、恩ある人に見せる、これがせめてもの土俵入りだった。
 
 1957年(昭和32年)東宝映画で観た。駒形茂兵衛に加東大介、お蔦に越路吹雪が扮していた。監督はマキノ雅弘だった。ちなみに、加東大介の兄は沢村国太郎、姉は沢村貞子、甥は長門裕之、津川雅彦。

 三波春夫が歌う「一本刀土俵入り」もよく聴いた。作詞は藤田まさと、作曲は春川一夫。1960年の作品。
 ♪千両万両と 積んだとて
  銭に買えない 人ごころ
 長い台詞が入る。
「角力になれず、やくざになって尋ねてみりゃ、この始末。さぁ、姐さん、この金もってお行きなせえまし。飛ぶにゃ今が潮時だ。あとはあっしが引き受けました」

×  ×  ×
 三波春夫の「一本刀土俵り」雪の渡り鳥/一本刀土俵入りは近くの映画館の幕間に流れていたっけ。台詞入りの歌謡曲は、聴くほうが照れくさかったが、今となると物語が浮かんできて、実にいいもんだなぁ。

2009年7月2日木曜日

堂場瞬一「蒼の悔恨」

魅力ある真崎薫

 堂場瞬一の蒼の悔恨 (PHP文庫)を読む。
 神奈川県警捜査一課の刑事、真崎薫が主人公。堂場のヒット・シリーズ鳴沢了と同様、上司の命令はきかず自分流に捜査を進める“はみ出しデカ”である。鳴沢との相違は、酒を飲み、煙草ラッキー・ストライクを吸う。自分の名前「薫」が大嫌い。ポトフやビーフシチューを上手に作る料理好き。愛車は10年型落ちのBMW、180センチ超の長身でハンサムと、主人公のキャラクターは魅力的だ。
 連続殺人犯、青井猛郎を、真崎は初めてコンビを組んだ女性刑事、赤澤奈津ともに大けがを負った上、取り逃がす失態を演じる。その汚名を返上しようと立ち上がる。奈津の父は横浜随一の宝石商、海星社の社長。闇の世界で隠然たる存在の新世界飯店の店主、楊貞姫(ヤン・ジェン・ジー)が登場したりして、横浜ムードもある小説に仕上がっている。
 犯人を挙げた真崎は奈津に「君を愛させてくれ」と叫ぶ。ラストシーンもいい。
×  ×  ×
 まぁ、欠点は挙げないようにしょう。愉しく読めればよしとする。
 貶されるって誰でもイヤだよね。若い時分、草野球音は褒めれれて成長する典型だったなぁ。つまりお調子モノだったから。
2009年6月25日読了